ウェルビーング

1年に及ぶ「立って仕事」研究が上下昇降デスクの普及を促す

最近の「立って仕事」に関する研究によると、上下昇降デスクがワーカーの生産性や集中力、健康全般を向上させるということが分かった。

所要時間 7分

最近公開された職場環境に関する研究で、上下昇降デスクは仕事での座る時間を短縮させると同時に、職場以外での生活にも好影響を及ぼしていることが判明した。「Stand Up to Work:Assessing the Health Impacts of Adjustable Workstations/立って仕事:上下昇降デスクによる健康効果を評価する」研究では、上下昇降デスクと従来のデスクを使用している人を比較している。12カ月に及ぶ研究から分かったことは、上下昇降デスクが生産性の向上、より高い集中、そして、健康全般の改善へとつながるということだ。

「この研究が他の上下昇降デスクに関する調査研究と一線を画しているのはその研究期間の長さと補完的な質的データが網羅されている点です。そのクオリティは他の専門家の注目も集め、出版されても決しておかしくはないレベルなのです。」と語るのは研究リーダーでマウントサイナイ医科大学の准教授であるElizabeth Garland博士だ。「殆どの研究が2-3ヶ月で終わるのに対し、私たちの研究は丸1年かかっています。座ることでのストレスやウェルビーングという側面や座るという行為の変化まで、上下昇降デスクを使用することでの健康へのインパクトを客観的かつ主観的に評価しようとしたのです。」

Garland氏はアクティブデザインセンター(Center for Active Design=CfAD)、国際的建築設計事務所の Perkins+Will,Steelcase という多岐に渡る専門家と共同でこの研究を行った。Perkins+WillとSteelcaseは共に諮問委員会メンバーかつCFADが運営する建築物認証システム、Fitwelの指定推進メンバーでもあった。米国インテリアデザイン協会(ASID)の助成金により着工したこの研究の結果は、職場環境健康管理ジャーナル(International Journal of Workplace Health Management) 誌上で公開された。

主な研究結果

座る時間を短縮する
上下昇降デスク使用者は3か月後に座る時間が17%減少したと報告し、その後この状態は1年間継続した。

体調の改善を感じる
上下昇降デスク使用者の47%が背中や肩、首の痛みが大幅に減少したと報告した。

使いやすい
上下昇降デスク使用者の88%が、その使いやすさを感じ、その状態は1年経っても変わらなかった。

生産性が向上する
上下昇降デスク使用者の65%は、1年後には生産性が向上し集中力もアップしている。また、以前より活動的でフレッシュな気持ちで柔軟に仕事ができ、エネルギーに溢れているとも報告した。

仕事外の生活の改善
65%がオフィス以外での健康的生活に意識を持つようになったと答えた。

「Fitwel認証システムを運営する上でも健康的デザイン戦略の推進をサポートし牽引する為の研究やデータを常に必要としています。「立って仕事」に関する研究は、私たちの職場環境イニシアチブの基礎ともいえる重要な研究であると同時に、ユーザーの健康と構築環境をどうつなぐかという広義な研究の参考にもなりました。」と語るのはアクティブデザインセンター(Center for Active Design)のシニア研究員Abbie Watts氏だ。

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立って仕事をしよう

アクティブ・タッチ機能搭載Ology (オロジー)は、ユーザーの身体活動とウェルビーングを促進させるよう設計されており、2つのコントロールチョイスを用意。シンプル・タッチは作業中の仕事から目を離さずにコントーローラーに軽く触れることでデスクの上下昇降が可能に。また、アクティブ・タッチはデスクがかすかに動くことでユーザーに姿勢を変えるよう促します。

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立って仕事をしよう

上下昇降デスクMigration(マイグレーション)は、仕事の間座ったり立ったりと姿勢を変え容易に身体を動かすようユーザーをサポートします。自立式の間仕切り、Answer Fence(アンサーフェンス)がプライバシーを確保すると同時に電源、通信へのアクセスも可能にしました。

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立って仕事をしよう

一日を通して身体を動かし続けることは精神面および身体面での効果が高いと言われています。Answer Beam(アンサービーム)を利用することで、オープンな環境でも上下昇降デスクの機能を利用でき、常にフレッシュな気分で仕事に向かえます。

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立って仕事をしよう

Mackinac(マカノー)はユーザーがより動きやすく、思考しやすく、気持ちよく働けるために仕事環境をトータルで再創造した新たなソリューション。このユニークなカンチレバータイプの上下昇降デスク面は、場所を離れることなく、集中ワークからコラボレーションワークへと素早くシフトすることを可能にしました。

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立って仕事をしよう

研究への参加者たちは一応に口を揃えて湛えたのが仕事中に立つよう促すこのリマインダー機能。Steelcaseが開発したRise(ライズ)アプリは、 アクティブ・タッチコントローラー搭載上下昇降デスクやベンチとシンクロしながら職場でのウェルビーイングを促進します(2018年冬発売予定)。

「企業の健康経営はその最も重要な資産である働く人のウェルビーングにかかっています。この研究は上下昇降デスクが従業員の身体的、認知的、情緒的ウェルビーングを促進するには不可欠な什器の一つであることを証明しました。」と語るのはとSteelcaseウェルビーングコンサルティングのディレクター、Lynne Sulliva氏だ。一日を通して従業員が身体を動かしながら働けるということは、職場でのチョイスとコントロールを従業員に与えることで、それがひいては従業員のウェルビーングや エンゲージメントの向上へと繋がるのである。

この最近の研究結果は、かつてSteelcaseが発表したオフィスデザインがそこで働く人に影響を及ぼすであろうウェルビーング要素を明確にした調査研究結果に続くものだ。これに関しては ウェルビーイングと企業の収益性で詳しく述べている。。

側面の一つは、職場を活性化することだ。最適な職場環境は従業員のモチベーションを上げながら比較的短期間で業績に結びつけるものである。Steelcaseが提案するスペース設計指針は以下の通りである:

  • 周囲における刺激感覚レベルをコントロールするために多彩なエリアをデザインする。
  • 上下昇降デスクのように様々なサイズ、ニーズや好みに対応し、一日を通して身体を動かすよう促す調節が容易な家具を提供する。
  • ヘルシーなフードのチョイスや情報表示が可能なカフェの設置。自然光や眺望、通気、パティオ等自然環境を取り入れる。中央に設置された階段、屋外歩道、自転車用ラック等活動的且つ健康的なライフスタイルをサポートする。

身体的ウェルビーングに着目することは、従業員がより動きやすく、思考しやすく、気持ちよく働けるために仕事環境をデザインする上での重要な要素のひとつだ。「立って仕事」に関する研究は、上下昇降デスクがウェルビーイングを包括的に捉えようとするデザイン戦略の重要な部分であることを証明し続けている。

「健康、ウェルビーング、サステナビリティにコミットする調査主導型デザイン事務所である当社にとって、「立って仕事」に関する研究は特に重要なプロジェクトでした。この研究は当社の職場環境デザイン戦略の多くを立証し、データを重要視する顧客がデザインソリューションを選択する際の指標を証明してくれました。」とPerkins+Willの研究部門ディレクターであるJohn Haymaker氏は語った。

「立って仕事」に関する研究はすでに出版され、 現在ダウンロード可能である。また、手法の評価や導きだされた推論等が盛り込まれたエグゼクティブサマリー も在入手可能となっている。

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