ウェルビーング

在宅勤務をする際の決めごと

ネットとリアル、仕事とプライベートのメリハリをつけることで注意散漫を回避する。

所要時間 5分

当ストーリーは、Steelcase 360シリーズ 「距離を感じさせない工夫」 のひとつです。

リアルとネット、仕事とプライベートの垣根を意識的に決めてメリハリをつけるように管理することが自宅での仕事を充実させる。

テレワークが増加している様子は現在人気急上昇しているアプリを見ても分かる。予定表やコラボレーション、チャット機能などを統合した業務用アプリ、DingTalkは、中国では春節以降、最もダウンロードされるアプリへと急成長した。他の地域で言えば、Tencent Conference、WhatsApp、Facebook Messengerは2月のダウンロードアプリのトップ10に名を連ねた。これらのアプリの共通点は、遠く離れていても人がつながるということだ。

一時的でも在宅勤務を強いる企業が増える中、長期的観点から新たな課題も浮上してくる。自宅で仕事をするのは邪魔が入らず集中できて楽でいいと最初は思うかもしれない。しかし、そこには多くの人が陥る苦悩があることも覚えておこう。

健康を維持しながら仕事をこなすにはいくつかの決めごとを確立する必要がある。

「ネット」の垣根

応答時間を決める

一度集中がそがれるとその集中状態に戻るには23分かかるという。そのため、応答通知を最小限(さらにいいのは非通知モード)にすることだ。また、メールのポップアップやアプリの通知もオフにする。その代わりに、1日の内で応答する時間を設定しよう(1日2回とか)。アプリのステータスを更新するか、メールの署名または自動応答に自分の予定を入れて皆に広く知らせるようにしよう。そして、緊急の場合は電話をしてもらうように!

プラットフォームを選ぶ

これらのアプリは仕事を遂行するための最強ツールだ。あるプラットフォームから次のプラットフォームへ、あるデバイスから次のデバイスへと切り替えながら最新情報をアップデートし続けることができる。実際、DingTalkは中国では「DingDing」と呼ばれ、デフォルト通知音は鳴り続け、チームにプラットフォームを選びそれを使い続けるように促す。プロジェクトの書類やインスタントメッセージを管理するにはひとつでは足りないかもしれないがその数は少なければ少ないほど良いだろう。

ソーシャルメディアを管理する

邪魔を阻止する最も簡単な方法は、おそらくソーシャルメディアの使い方を工夫することだ。 「ディープ・ワーク」の著者、カル・ニューポートはそれを完全にやらないのが一番だと主張している一人だ。ただし、自宅で突然孤立感を感じたら人とつながるのは有効な方法でもある。完全に止めるのではなくソーシャルツールの扱い方をちょっと考えてみることで少しは楽になることは間違いない。通知をオフにする、チェックインの時間を決めるなどそういったことが注意散漫を防ぐことになる。

「リアル」の垣根

仕事領域を明確にする

自宅では在宅勤務の配偶者や学校が休校になっている子供たちの世話をしなければならないこともある。そういう中で集中することは極めて困難である。そこで重要となるのが自宅での自分の仕事領域を家族内で明確にすることだ。ダイニングテーブルを使用する場合も、子供のデスクを使用する場合も、「自分は仕事中である」ことを周りに知らせることが大きな違いを生んでいく。

視覚的な邪魔を遮断する

ホームオフィスがない場合、誰かが部屋に入るたびに気が散ることになる。人間の周辺視野は昔から獲物の動きを把握できるように非常に鋭く作られているという。誰かが通り過ぎただけでちらっと見上げてしまうのは仕方がない。植物、本棚、PCモニターなどで覆いながら「視覚的な邪魔」を遮断し、集中力を維持させる工夫が必要になる。また、視覚に入る余分なものを机上面から排除し、デスク周りを整理整頓することも有効だ。

雑音を調整する

オフィスでの多くの苦情はその雑音だ。それは自宅でも同じだ。テレビを見ている子供、賑やかな隣人の声、犬の吠え声のすべてが注意散漫を招く。ドアを閉められない場合は、電話会議の音声はPCからではなくヘッドフォンを使用してなるべく周りの雑音を消す方法を探すことだ。また、予定を立てる場合は自分が静かに集中できる時間をちゃんとカレンダーに組み込もう。

「仕事とプライベート」の垣根

カレンダーに従う

予定カレンダーに従う – 自宅で仕事をすると、ベッドから出てノートパソコンを開き、そのまま夜遅くまで仕事に没頭しがちだ。香港の同僚は、チームにはそれと正反対のことを推奨している。彼らの時間の20%は予定/計画通りに動き、誰もが「カレンダーに従う」ことを意識している。午前6時や7時の電話会議などだ。その後、日中はランニングをしたり、子供とキャッチボールをするかもしれない。何をするにしても1日の計画をしっかりとたてそれに従うことだ。

燃え尽き症候群を自覚する

人生にはある程度のストレスは必要だ。Steelcaseのリサーチコンサルタントであるトレイシー・ブロワー博士は、「ファースト・カンパニー」誌で仕事において心身ともに消耗し尽くしてしまう燃え尽き症候群を自覚してそれを防止するシステムを構築することが重要だと主張している。その症状を認め、身体のエネルギー状態を観察し、何をするとハッピーで肯定的になれるのかを認識しよう。そして、それを毎日やれているかを確認していくことだ。

マインドフルネスを身につける

脳をクリアにし、鍛える方法がある。それが「マインドフルネス」瞑想だ。自分の今の状態や心に意識を完全に集中させることができるようにする練習だ。 精神医学誌に掲載された研究論文では、8週間にわたって1日30分のマインドフルネス実践が脳を鍛え、極度の不安や恐怖、注意散漫への反応度を低下させると示唆した。マインドフルネス実践で注意力や集中力の向上、あるがままに今を受容する力を身につけることができる。

在宅勤務やテレワークには新たなルールが必要である。リアルとネット、仕事とプライベートの垣根を意識的に決めてメリハリをつけるように管理することが自宅での仕事を充実させていく。

写真提供: Maskot / Offset.com


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