サステナビリティへの取り組み
ビックデータ活用時代を迎えるにあたり、プライバシーと透明性のバランスを図る:サステナブルな未来への道
ビックデータという言葉がかなり浸透している昨今、その言葉は短いがその可能性はまさに「ビック」であり、巨大で有益な情報がそこには眠っています。データに新たな価値が生まれ、ビックデータから今までに見たことも理解したこともないような
データの収集が可能になったのです。この新たな発見は新たな世代に価値を与え、より賢い意思決定や経済的、環境的、そして社会的な課題を解決できる方法を提供することになります。また、考えられないスケールでイノベーションを起こす可能性を持ち合わせているのです。
また同時に、ビックデータは膨大な利益をもたらす代わりに何かを諦めることを要求します。例えば、それは今までは隠されてきた個人情報であったりします。そこでは人々が衝突するという可能性もあります。
消費者は見返りとして何か利益があれば、ある程度の個人情報は放棄しても構わないと思うでしょう。しかし、あまりにも情報が共有されるためその透明性に反発もあります。そして、個人情報やプライバシーがコスト削減やサステナビリティ向上のために交換されるサービスには需要が高まるでしょう。同じ消費者がプライバシーに対するセキュリティ強化製品を求めている事実もあります。例えば、他の携帯OSでは不正アクセス可能なデータが「ブラックフォン」ではそのデータが隠され、暗号化されているため、その製品に対する需要が高まっているのです。
情報のプライバシーを保護したいという欲求と透明性へのニーズという相反する状況を解決するにはビックデータを活用し、それに進化する分析能力を組み合わせることが鍵になります。この相反する状況の中で有効な方法を探すときに中心になる考え方がサステナビリティです。
Steelcaseでは製品の構成材料を開示するにあたって、情報の透明性とプライバシーの間で悩みました。何故なら、最もシンプルな製品は少なくとも50のサプライヤーが関係しており、その下にぶら下がるようにサブサプライヤーがいます。完全なる情報開示は全体のサプライチェーンの蜜な協力なくしてはありえないのです。
つまり、サプライチェーンが製品の材料の科学的成分などの情報を細かく開示してくれることが要求されるのです。ほとんどの場合、私たちは必要な独占情報(透明性)を得るためにサプライヤーとの間に機密保持(個人情報保護)協定を結びます。つまり、材料の科学成分情報にアクセスできるが、社外には情報を開示することができないというものです。
そして、最後には顧客が望む通りとはいかないまでも、材料に関しての保証は得られます。懸念材料を突き止め、排除するようにしていますが、誰もが少しの情報を出し合いながら見返りとして何かを得るというプロセスを踏んでいます。こういう交換作業によって、人間や地球が保護され、革新的な素材やデザインが世に生まれてくるのです。
情報共有はサステナビリティの新たな通過地点に過ぎません。データを入手し、分析し、何が起きているかを可視化することで社会的、経済的、そして環境的な問題や新たな好機を明確に捉えることが可能になります。可視化は共有化のベースであり、コ・クリエーション(共創造)やコラボレーション、そしてデザイン面の提携というように私たちを新たなレベルへと導いていきます。
同時に、私たちのようなソリューションベースのメーカーたちは得た情報に関してはその個人情報を保護する方法で管理する責任があります。人々は私たちがワーク環境を変革していくために彼らのワークスタイルに関する情報と交換に何か見返りを求めるようになっています。私たちは共に交換をしあうことでそれぞれにとって何が大事なのか、また、その存在意義を観察しながら革新的なワーク体験を実現することが出来るものと確信しています。
ビックデータの時代にあって、その透明性に重きを置くか、個人のプライバシーを保護するかという問題がでてきます。真の問いはどうやったら、情報の透明性とプライバシーが交差する場所、つまり、人々が共存し、すべての人が利益を得られる場所を見つけ、どのように豊かでサステナブルな未来を築いていけるかということです。