人類 + 地球

未来の「インクルーシブ・ ワークプレイス」構想

オフィスを誰もが貢献できる魅力的な「目的地」にする方法

所要時間 4分

いつ、どこで、どう働くかの選択肢が急速に拡大している。そして、オフィスにはこれまで以上に、柔軟性や働く「人」ファースト、そして、テクノロジーと人とを融合しながら誰もが公平にメリットを享受できる「場」の構築が求められている。 Steelcaseは、障害者を対象にした情報アクセシビリティ支援に取り組むG3ict(Global Initiative for Inclusive)と提携し、定量的および定性的調査を実施し、その結果をもとに未来のインクルーシブワークプレイス構想を発表した。

Steelcaseのソーシャルイノベーション担当副社長であるキム・ダブ氏は、次のように述べている。「私たちは、G3ictと協力してさまざまなステークホルダーを参加させることですべての人にとって安全かつ誰も排除しない、より魅力的なオフィス環境を実現するための方策を提案していきます。」

このプロジェクトは、障害のある人に焦点を当て、オフィスが誰も排除しないよりインクルーシブで安全かつ魅力あるものであることの重要性を説いている。この枠組みでは、障害とは「身体面、精神面、感情面における障害によって継続的に社会生活に制限がある人」と定義されている。

この構想の中の障害者とは、年齢、障害の種類、経済状況、学歴、民族、性同一性、人種などその範囲は多様である[ii]。さらに、調査によると、コロナ禍において障害者はより大きな打撃を受けているが分かっている。アメリカでは、コロナ禍、障害のある労働者の5人に1人が失職し、その格差は今後さらに悪化するだろうと予測されている[iii][iv]。

この調査には、文献レビュー、世界的調査、厳選された専門家グループによる人間主体のデザインに関する円卓会議、さらには個人を対象とした定性型インタビューが含まれている。

主な調査結果は下記のとおりである:

業界がインクルーシブなオフィスづくりに対して明確かつ認識を共有しているとと回答したのは49%のみである(安全性については64%、魅力的な雰囲気については53%)。[v]

インクルーシブなオフィス構築に向けて不可欠と思われる3つの主要要素とは:

  • 61% – あらゆる業務とレベルでの表現の自由と多様性
  • 45% – 全ての人にとって製品、テクノロジー、システムを利用しやすいこと
  • 45% – 全ての人にとって利用しやすいオフィス環境

障害者である回答者は、全ての人にとって利用しやすいテクノロジーとスペースの両方を表現の自由より上にランク付けしている。

インクルーシブなオフィスづくりを実現することの主な成果は:

  • 80% – 従業員満足度の向上
  • 65% – イノベーション頻度の増加
  • 53% – 個人とチームの生産性の向上

「この取り組みにおいて、データを人々の実際の体験と融合させることが重要であると私たちは考えています。」と、G3ictのグローバル戦略および開発担当副社長であるジェームズ・サーストン(James Thurston)氏は述べている。 「私たちは、プロジェクトに多くの時間や情熱、その専門知識を捧げてくれた円卓会議のメンバーやインタビューの参加者に感謝しています。」

データに加えて、コンセプトマップを活用してオフィス内での機会と解決すべき課題を見える化し、さらにステークホルダーとエコシステムマップを活用して職場に影響を及ぼす重要なグループとその相互関係、および14の異なるステークホルダーグループをいくつかの推奨される実行項目と合わせて詳細に分析することも含まれている。

SteelcaseとG3ictは、世界中の企業における安全かつインクルーシブで魅力あるオフィス構築を実現する方法に関して注目が集まり、対話が生まれることを目的としてこの構想の発表に至った。

「未来のオフィスは、チームメンバーの誰もが平等に貢献できる魅力的な目的地でなければなりません。その違いを個性として生かすことが重要な視点になります。」

キム・ダブSteelcaseソーシャルイノベーション担当副社長

「未来に向けてやるべきことはたくさんあります。この構想が未来への確かな道筋を描くための羅針盤となるものと私たちは信じています。」とダブ氏は語った。

 

[i] 国連経済社会局(n.d.)/障害者の権利条約第1条「目的」
出典元:
https://www.un.org/development/desa/disabilities/convention-on-the-rights-of-persons-with-disabilities/article-1-purpose.html
[ii]障害者リード(2020)/過去、現在、未来:前進する力と影響力
出典元:https://medium.com/disability-power-and-influence/our-past-our-present-our-future-dca8bcb45fd6
[iii] Easterseals(2021年)。Eastersealsは、Covid-19が障害者に与える影響に関する研究、概要と主要な調査結果。
出典元:https://www.easterseals.com/shared-components/document-library/media-room/easterseals-study-on-the-impact-of-covid-summary.pdf
[iv] Andrews、C.、Montesquious、A.、Sanchez、I.A.、Dutta、P.V.、Paul、B.V.、Samaranayake、S.、Heisey、J.、Clay、T。、&Chaudhary、S。 経済インクルージョンレポート(2021年)、世界銀行からの出典元:https://openknowledge.worldbank.org/bitstream/handle/10986/34917/9781464815980.pdf?sequence=24&isAllowed=y
[v] 未来のインクルーシブ・ワークプレイス構想には、世界28か国、あらゆる業種からの373人の被験者を対象にした調査結果が含まれている。

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