ラーニング

教室での学生の「注意力」を向上させる

21世紀の社会人の基礎力とスキルを身につけ させるために今の大学に必要なのは学生が学 習に集中できる環境である。最新の研究からそ の対策を探る。

所要時間 15分

学習スペースはやり方次第で学生の注意力、学習意欲や成果の改善に役立ちます。

創造力や実行力が問われる今日のビジネス社会にあって、果たして大学では社会人としての基礎力やスキルを培う適切な指導をしているだろうか? この問題が再び脚光を浴びてきている。Gallup社が企業の経営者に実施した調査によると、「今の大卒者がビジネス現場で生かせる実用的スキルを持ちあわせ、すぐに即戦力となる」と回答した企業は全体の3分の1しかいない。さらに3分の1は「今の大学はまったく適切な指導をしていない。」としており、残りの3分の1は「どちらでもない」と答えている。

教育関係者は高卒と比べた大卒の財務上の長期的な優位点を上げ、これに反撃した。さらに「過去においても大学は職業訓練学校としての役割を担っていたわけではなく、むしろ、特定の職業訓練を行う責任があるのは企業だ。」と主張している。

大学と産業界の間のギャップが埋まらないのは教育界に難しい問題があるためだ。学生は個々によって資質も違う。さまざまな背景、スキル、希望や夢を持つ人間であり、創造的な経済活動という動く標的に向かって、現時点でも存在していない職業に向かって、学生を準備させることは決して容易なことではない。

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学校に関心があるのは5~12年生の生徒の半数しかいない。

Gallup

この取り組みに対して学生自身も関心がないことが状況をさらに難しくしている。Gallup社の調査によると、米国で学校に関心があるのは5~12年生(12年の通し学年)の生徒の半数しかいない。さらに残念なことに、その関心度は5年生から高校にかけて着実に減少し、11から12年生にかけての関心度は低いままである。

「当社の調査によると、この学習意欲への問題は大学時代まで続くのです。大きな問題のひとつは従来型の学習体験が脳の働きに適合していないことで、特に注意力は大きな要因で、学習意欲というものはこの注意力から始まるのです。」と述べるのはSteelcase EducationのAndrew Kim研究員だ。

Andrew Kim マネジャー、WorkSpace Futures、Steelcase 学習スペースの研究に情熱を注ぐ毎日で、現在の一番の関心は脳と身体の関係である。脳科学は学習にとってのヒントになるだけでなく、教育機関や教育者、学生 (彼は3人の子供の親でもある) にも直接的利益をもたらす可能性があるからだ。 “We have to consider cognitive ergonomics in planning and designing learning spaces. The science is early but indications are that our physical environment can impact how we think, and even help us think better.”
Andrew Kim
マネジャー、WorkSpace Futures、Steelcase

学習スペースの研究に情熱を注ぐ毎日で、現在の一番の関心は脳と身体の関係である。脳科学は学習にとってのヒントになるだけでなく、教育機関や教育者、学生 (彼は3人の子供の親でもある) にも直接的利益をもたらす可能性があるからだ。

「大きな問題のひとつは従来型の学習体験が脳の働きに適合していないことだ。特に注意力は大きな要因で、学習意欲というものはこの注意力から始まる。」

Andrew KimEducation Researcher, Steelcase

彼はSteelcase WorkSpace Futuresグループの研究員たちと世界中の教育現場を視察し、細かく学生の行動を観察している。そこでの顕著な行動のひとつが注意力の散漫だった。教室で同級生とおしゃべりをし、SNSをチェックし、メールの送受信をする。まさに彼らが関心があるのは講義の内容ではなく、携帯デバイスなのだ。「今日、学生の関心事はあまりにも多いため、学習への情熱や意欲を引き出すことが極めて難しくなっています。」とKim氏は述べる。

そこで私たちは、学生の注意力を引き出すために、まずはその背景にある科学的根拠を理解し、そこから得られたインサイトを教育の「場」に適用しようと試みた。

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1. 「注意力」にはムラがある

平均的学生の「注意力」の持続時間は約10~15分といわれている。これはよく引用される統計値だが必ずしも実証的証拠があるわけではない。Karen WilsonとJames H. Korn両氏は2008年にこの統計値の出所を調査し、10~15分という推測値が主に個人的な観察と二次的な情報源に基づいていることが分かった。

別の調査では授業中に下記のような行動パターンがあることも明らかになった。要は授業が始まってわずか30秒で学生の「注意力」は低下し始めるのである。

  • この低下は授業が始まって4.5~5.5分、7~9分、そして9~10分後にも起きた。
  • 授業が進むにつれ、「注意力」は頻繁に強弱を繰り返し、授業の終わりにかけては約2分毎に低下していた。

一方で、人間は約45分から1時間は「注意力を持続できる」とした最近の調査もある。そうだとすると多くのことがこの時間枠で設定されているのも理解できる。例えば、テレビやラジオの番組、授業時間、礼拝ミサ、音楽CD、昼休みなど、多くがこれに当てはまる。しかし、人間の能力に関係なく、退屈な授業は急速に人を眠りに誘い、そうなると持続する注意力も持続しなくなる。

「注意力」というものは、授業の内容の難しさ、授業内容に対する学生の関心度、注意力を促す環境の整備などによっても変わるとKim氏は指摘している。この状況の中で励みとなるのはWorkSpace Futuresグループの研究員たちが授業に能動的に参加させるアクティブラーニングでは学生の注意力は維持されているという成功例を見てきていることだ。


2. 「注意力」を引き出すアクティブラーニング

このWorkSpace Futuresグループによる観察結果は、Diane M. Bunce氏による2010年に実施された「How Long Can Students Pay Attention in Class 学生はどれくらい長く授業に集中できるか? 」という調査 での受動的な授業とアクティブラーニングの比較データでも実証されている。明らかにアクティブラーニングでは「注意力」が下がることが少なかったのである。また、アクティブラーニングの授業と比較して、デモンストレーションの後の講義や質問された後では「注意力」は低下しないことも明らかになった。結果として、アクティブラーニングには、学生の注意を引きつけることと、その後直ちに「注意力」を活発化させるという2つの利点があることが分かった。

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3. 目新しさと変化が「注意力」を引きつける

認知科学者のDaniel Willingham博士は「Why Don’t Students Like School? 生徒/学生はなぜ学校が好きではないのか?」の中で、変化が注意を引きつけると指摘している。教室の外で何かが起きると生徒はすぐに窓の外を見る。教師が話題や内容を変えたり、何らかの方法で学習プロセスを変えると、生徒の注意力が戻ってきて、学習意欲を高めることもある。ですから、まずは変化を起こすよう試みてみよう。そして、その授業風景をモニターし、変化の回数を増やすか減らすかを検討するのも良い方法である。

人間の脳は生存上の脅威から身を守るために周囲の変化に注意を向けるように進化してきた。人間は新しいものや異なるものに対して本能的に惹かれるようにできている。好奇心を強く抱いた時のヒトの脳はドーパミンやオピオイドを分泌し、快感を感じるという。従って教材が変わったり、休憩をとることが「注意力」を高めることにもなる。ケネソー州立大学の調査では、教授が質問に答えたり、新しい情報を与えたり、動画を見せたりと、何かいつもとは違うことをした時に学生の「注意力」が増したことを明らかにしている。

新しさと変化は別の面からも注意を引きつける。例えば、人間の複数の感覚に働きかけながら重要ポイントを繰り返すことである。これを反復することがニューロンの結合を強め、学習の強化につながる。人間の視覚、知覚、作動、感情などの神経回路網はそれぞれに記憶システムを持っている。「人間には驚くべき容量の視覚的記憶があり、視覚的情報が書く、話す情報と一緒になることでより強く記憶に刻まれることになります。学習が知覚的、身体的、感情的、認知的な神経回路網全体を使うようになると、学習はもはや教室に限定されず、あらゆる場所が学習する場へと広がっていく可能性があるのです。」と心理学者のLouis Cozolino氏は語っている。


4. 身体を動かすことが脳を活性化する

多くの調査が有酸素運動によって脳の質量が増え、認知機能を改善すると示唆している。運動は脳により多くの酸素を送り込み、毛細血管の発達や前頭葉の弾力性を促し、記憶や学習を司る海馬の神経新生を刺激するともいわれている。身体を動かすことは敏捷性を向上させ、記憶をコード化し、記憶を向上させる。しかし、学校や教員たちは昔から生徒や学生をイスに固定し、静かに座って授業に集中するよう指導したものだ。

この指導とは逆の結果が今、起きている。身体を動かすことはむしろ学生の集中力を高め、注意力を強めるのである。このことはLengelとKuczala両氏の研究レポート、「The Kinesthetic Classroom: Teaching and Learning Through Movement 運動感覚を活用した教室:動きながらの指導と学習」で明らかにされている。このことは学生が席を離れて動きまわるだけで、脳は目新しさと変化と認知し、活発に動き始めるのだ。

オーストラリアのシドニーにあるディラニーコネクティブ高校ではこの運動機能を積極的に採用している。例えば、毎朝の「脳の腕立て伏せ」である。これは太極拳に似た5分間の運動で、血行をよくして学生の集中力を高めている。


5. 席の配置が「注意力」に関係する

また、ケネソー州立大学の調査は学生が教室のどこに座るかが学生の集中力を左右すると示唆している。この調査によると、教室の前と中央に座っている学生は学習に集中していたが、後ろに座っていると注意を逸らすものが多いというのだ。一方、学生が簡単に席を動かしたり、再配置できるアクティブラーニングでは、集中力を高め、注意力を維持することが可能になるとも結論づけている。

複数の「ステージ」 (教員には従来の固定位置がない) があり、コンテンツ表示、可動チェアといったもので構成されている教室は柔軟性も高く、教員や生徒/学生は教室のどこからでも指導や討論、コンテンツ共有が可能になる。教室には前も後ろもなく、学生は可動チェアで容易に姿勢や場所を変えることができ、自分にとっての最上の席を確保できるのだ。

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Beatriz Arantes Senior Researcher, WorkSpace Futures, Steelcase Based in Paris, Beatriz specializes in the psychology of human emotions and behaviors, and how they relate to work and work environments. Having recently participated in extensive research on wellbeing at work, she says neuroscience provides compelling evidence that achieving both productivity and wellbeing depend on understanding and leveraging how the brain works. “The brain isn’t a computer that performs the same no matter how long it’s been on. We’re learning that some of the things that have typically been demonized in the workplace, such as taking a break, socializing or letting our minds wander, are actually regenerating our minds. We can no longer exist as if focused is the only way to be at work.”
Beatriz Arantes
シニア研究員、WorkSpace
Futures, Steelcase

パリに拠点を置き、人間の感情と行動に関する心理学や、それらがどう仕事やワークプレイスに影響を及ぼすかの研究を担当。最近、仕事におけるウェルビーングの調査に参加したことで確信したことがあると語る。それは脳科学は脳を理解することで生産性とウェルビーングの両方を向上させることを実証しているのです。

6. 「環境」が思考を変える

環境によって、学習効果は向上したり、低下したりするとCozolino氏は指摘する。「不適切な学校施設、貧弱な防音設備や教室照明など環境のすべてが学業成績に影響を及ぼすのです。学生が使うチェアでさえも脳に供給される血流を妨げ、認知力を阻害することもあるということを教育関係者はもっと認識すべきです。」

「個人での学習は深い集中力を要し、タスクが難しいものであればあるほどより簡単に気が散るため、注意散漫を防ぐ方法をもっと考えるべきです。それには学生が注意を逸らしたり、集中力を乱すような刺激を回避できるような空間が必要になるのです。」と主張するのは研究員のKim氏だ。

しかしながら、時には注意を逸らす環境も必要だという。これは「集中思考」の反対の「拡散思考」のことで、学習と創造性をうまく補い合うというものである。「拡散思考」では、マインドはあてもなくさまよう。「この時、極度な注意力散漫によって、脳は異なる話題に移りやすくなり、脳は断片的な情報を使って結合し、新たなインサイトや理解を生み出すのです。」と述べるのはSteelcaseのシニアデザイン研究員でフランスのパリに拠点を置く心理学者、Beatriz Arantes氏である。

学生は注意散漫を回避する環境とそれを受容する環境の両方を必要とし、それはレポートを書くのか、または知覚的刺激からインスピレーションを得るかの状況によって決まってくるのである。


7. 「学習」には自然なリズムがある

学習する際には静かに集中することと健全に注意散漫になることの両方が同時に起きている。しばしば脳は直線的に動くので、思考する機械として見なされることも多いが、脳と身体は機械ではない。それらは活動と休息を繰り返す自然なリズムを持った有機体なのである。

調査によると、人間は睡眠中においても、5つの睡眠ステージを出たり入ったりしながら、「休息と活動のサイクル」があることが明らかになっている。身体も日中は同じリズムで作動し、アラートのレベルは高レベルから低レベルに移動する。脳は短時間は集中できるが、次のタスクで高い成果を達成するには休息をとって脳を回復させる必要があるのだ。このリズムを無視すると、人間は眠くなるか空腹を感じるかになり、集中力を失って落ち着きがなくなる。そして、ストレスホルモンが分泌され、前部前頭葉が停止し、明確な思考や創造的思考ができない状況に陥る。

研究員たちはこの自然なリズムにそって行動している人がより生産的であると結論づけた。休息と回復のための休憩は身体や脳のみならず、「注意力」を持続させるためにも極めて重要なのである。このことは教育においても同様で、学期、週、一回の授業でもそのリズムは変化している。「この学習のリズムは教員の指導法や授業カリキュラムにも適切に組み入れられ、集中、相互交流、個人/グループワーク、ソーシャルな交流、休息や元気の回復など、学習活動のさまざまなリズムがスペースにも組み入れられるべきです。」とArantes氏は述べる。

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学生の「注意力」を高めるための方策

「注意力」を引きつけるには脳と身体の両方を考慮に入れた学習スペースが必要になる。下記は「注意力」を高めるための方策の一部で、Steelcase WorkSpace Futuresグループが実際に大学で実施した調査に基づいて立案されている。

  1. アクティブラーニングの指導法は従来型の受動的なアプローチより、学生の「注意力」と意欲をより高めるものである。アクティブラーニングとは指導法(教授法)、テクノロジー、そしてスペースをひとつのシステムとして機能させ、トータルで学習をサポートするものである。
  2. より多くのチョイスとコントロールが学習意欲をより強化する。柔軟性の高い学習環境は教員と学生が学習内容にあわせて瞬時に学習スペースを調整することができる。
  3. 身体を動かすことで元気がでる。従来型の固定され、移動不可能な学習スペースを避ける。
  4. 集中思考と拡散思考の両方をサポートするスペースを提供する。学習内容に応じて、学生自らが学習環境を調整できるようにする。
  5. 学生と授業内容を最大限につなげる。複数のステージ、コンテンツ表示、可動チェアといったもので教室を構成し、学生が教室のどこにいても集中できるように工夫する。
  6. 学習のリズムを適切にサポートする。堅苦しいフォーマルな学習は全体の学習の中の一部にしかすぎず、学生のニーズや行動パターンは教室の枠を超えて広がっている。柔軟性があり、選択肢のあるさまざまなスペースを用意することで、学生はひとりでの集中作業やコラボレーション、ソーシャルな交流など変化するニーズに一番フィットする「場」をチョイスできるようになる。

アイデアのためのソートスターター

反転授業

このマルチモードの教室では、学生は教室外で見た動画講義を補足する能動的な個別学習である「宿題」と称する作業に授業時間の大部分を費やす。

柔軟性の高い家具は移動でき、教室でのさまざまな活動をサポートしている。グループサイズは少人数のものからどのサイズにも変更ができ、教員はそのスペース内を自由に動き回ることができる。

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  1. ラウンジチェアがあるコーナーセッティングは、可動式で姿勢の変化も促し、学生の「注意力」を高めながら、ひとりで学習したり、他者と一緒に学習するための型にとらわれない空間を提供している。
  2. 外の自然が目に入ることで拡散思考が始まり、思いを巡らすことで新たなニューロンの結合を促進する。
  3. 壁沿いのカウンターとスツールは、集中作業を要する個々の課題をこなすためのセッティングとして最適である。
  4. コンテンツは可動式ホワイトボードを使って教室中に表示でき、このようにスペースを柔軟に使用することで、学生はコンテンツによりアクセスしやすくなる。

media:scape LearnLab

LearnLab(ラーン・ラボ)は家具、テクノロジー、ツールを統合し、独特なX型レイアウトとスクリーンを三角形の視覚をつくるように配置することで多様な指導スタイルと学習法をサポートしている。この配置は前も後ろもなく、教室にいる全員がコンテンツを平等にアクセスでき、学習に集中できる環境を提供している。

このユニークな家具レイアウトは、授業中に起こる変化に富んだ視線や活動をサポートし、学生の注意を継続的にコンテンツに引きつけることが可能になる。

このユニークな家具レイアウトは、授業中に起こる変化に富んだ視線や活動をサポートし、学生の注意を継続的にコンテンツに引きつけることが可能になる。

  1. 対面式にイスに座ることで参加への意欲を高め、チームでのコラボレーションも促進できる。
  2. 固定式/可動式ホワイトボードや表示用スクリーンをフルに活用し、教室の周りに適切に配置することで、情報を継続的に表示できる。また、学生は動きまわりながら、発表内容を作成し、表現し、共有することが容易になり、注意力も活性化できる。

中間的スペース

この「タッチダウン」セッティングは、授業の合間にひとりで読書の課題を完成させたり、試験の準備をしたり、教員や仲間と1対1で話したりなど便利なスポット的な「場」を提供している。授業中にはグループ作業や討論の際の休憩スポットとしても利用できる。

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  1. The media:scape® kiosk は、教室以外で学生と教員がビデオ会議を通して、授業をしたり、コラボレーションできる「場」を提供している。
  2. 考慮された照明は脳の緊張を和らげ、注意力を維持しながら学習に集中することができる。
  3. 奥まった静かなシェルター風スポットは邪魔を防ぎ、読書、宿題、議論など集中を要する作業スポットして最適である。

図書館

この画期的な図書館は、個人の集中作業、コラボレーション、プロジェクト、ソーシャル交流などの多彩な活動をサポートするマクロ環境を提供している。オープンレイアウトの中に囲まれたセッティングを設けることで、学生は必要に応じて外界からの邪魔を調節しながら学習に集中できる。

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  1. ベンチデスクは他の人が周りにいながらもひとりで学習ができる環境を創出し、必要であれば簡単に休憩もとることができる。
  2. 私物を一時的に保管できるので、持ち物を心配することなく学習に集中できる。
  3. 個人ワーク用に囲まれたミクロ環境は、外界からの邪魔をブロックしながら、学生が持続的に学習に集中できるように、テクノロジーも装備し、身体もしっかりとサポートしている。
  4. 外の自然な景観は癒しを与え、精神的な安らぎと閃きの時間を与える。

かつてないほど注目される「書く」 + 「ホワイトボード」:

高解像度カメラやモニター、様々なサイズのタッチスクリーン型デジタルデバイスが溢れている現代はまさにコンテンツディスプレイの黄金時代ともいえる。その中にあって、従来型の吸着式ドライイレースホワイトボードがかつてないほど売れている理由はなんだろう?

その理由としては、まず、「書く」、「投影する」、「マグネットで資料を貼り付ける」など多機能であることの他に、サイズも豊富で、電源も不要で費用も安価であるからだ。しかし、ホワイトボードが優れた学習ツールとして脚光を浴びているのには身体と脳の両方を使って学習できるという隠れた理由がその背後にある。

ホワイトボードの使用は、運動感覚と視覚の両方を伴う。書いたり、描いたりするという動作は身体的、精神的の両面を使いながら、学習効果を高めていく。例えば、インディアナ大学での調査では、単に文字だけを見ている子供に比べて、書きながら練習をした子供の方が神経活動が向上していることが分かっている。

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ワシントン大学の調査では、人が思考をカタチづくるときに、手と脳の間にある種の関係が生じることが明らかになった。指の動きが思考、言語、作業の記憶にかかわる脳領域を活性化しているのである。

グループワークにおいてももたらされる利点は多い。情報やアイデアをホワイトボードに書くことで、ユーザーは重要な情報を覚えなければならないというプレッシャーからまず解放されることになる。情報を表示することでグループでの情報や知識共有も可能になる。可動式ホワイトボードは、2、3人のユーザーが考えを書きだし、その関係性を理解しながら、お互いのアイデアから何か新たなものを生み出すいう今までにないプロセスを築いていく。

「教育者はこの調査の結果も踏まえ、ホワイトボードの利点を日々感じているはずだ。当社の製品の売り上げが増えているのも、決して驚くことではないのです。」と語るのはセラミックスチール製のホワイトボードの市場をリードするPolyVisionの新規ビジネス開発担当ディレクターであるShawn Collins氏だ。

学校ではそのホワイトボードの新たな使用方法を持続的に試みており、異なるユーザーニーズに対応する様々な高さのホワイトボードを教室に設置する機会が多いという。ある大学では最近、座位と立位両方で使用できる約1.5メーターほどのホワイトボードを購入した。また、連続してコンテンツ表示が可能なように、スライドするホワイトボードも普及し、フラットスクリーンが使用されない際にはそれを隠すボードとしても活用している。ひとり用のホワイトボードは、試験の際の間仕切りとして、また、プレゼンやメモ用ツールとしても機能している。

電源を入れたり、アプリを開く必要もないホワイトボードは、瞬時に利用でき、学生の注意を向けさせたり、学習に集中できる一番簡単で手っ取り早いツールとしてその使用はますます増えている。

 

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