スタートアップ企業 のマインドセット
大企業組織の限界を超える
イノベーション。この単語には多くの期待や可能性が詰め込まれている。「創造性」を引き起こす、グローバルレベルの意思決定を促す、スタートアップ企業を10億ドル規模の価値を生み出す企業へと成長させるなど、その期待は計り知れない。その混乱の中でも、消費者はイノベーションから生まれた今までにない魅力的な製品やサービスに魅了されている事実は否定できない。
社内起業(社内ベンチャー)は時に「客員企業制度(EIA)」と呼ばれ、大企業の中で従来の常識を破るイノベーターとして、大企業組織の限界を越えることを期待される。イノベーターは組織内での特定の条件が満たされた時、その力が最大限に発揮され2015年から2017年に実施されたturnstoneの調査は、米国、カナダの参加者数十人のインタビューに加え、SteelcaseとQualtricsとの共同調査も含まれている。創造的な筋力が育つ。この仕事を遂行するためには、自らのチームを率い、人材登用にも深く関与し、独自の評価基準を設定するなど伝統的な企業のハードルに積極的に取り組み、イノベーションへと針を動かさなければならない。
何年もの間、Steelcase のブランドの一つであるturnstoneは社内起業家たちと意見を交換しながら、彼らが成功するための環境条件を観察、研究してきた。以下はその研究結果の一部である。
スタートアップカルチャーからの5つの教訓
1. 変換しようという意識を持つ
社内起業家たちは、従来の仕事の仕方や思考方法を前向きに変え、複雑な問題解決や業界の変革にも意欲的である。この変換しようという強い姿勢が、目的意識をもたらし、リスクを恐れずに何事にも果敢に挑戦させるのだ。そして、流れを根底から変えるような“思いのままにつくりだす”カルチャーを育むことになる。
2. 説明責任がイノベーションを促進する
イノベーターと呼ばれる人々は、自分の仕事を進めるにあたって、説明責任が重要になる。明確な目標と施策の提示、追加予算のための試作品準備、タイムラインの調整、魅力的なアイデアの数々。。どれもがイノベーションのスピードを維持するために不可欠な要素である。このプロセスにおいて、社内起業家は優れた話し手として、幅広い人の同意やサポートを得て、物事を前進させなければならない。
3. イノベーションには強いリーダーシップが求められる
組織を先導し、変革に導くのは企業のリーダーたちだ。指導者であるリーダーは、企業カルチャーをカタチづくる責任があるだけでなく、失敗やリスク、混乱に関しての独自の見解をもとにイノベーションを加速させるカルチャーを推進すべきである。企業のトップから権限を与えられたイノベーション主導型チームは、最終的に組織の隅々にまで行き渡り、ドミノ効果のように、新たなソリューションを創造する自由な雰囲気を創出することになる。
4. 制約された「俊敏性」を先導する
イノベーション主導型チームは、発想力を高めるためにデザイン思考や拡散的思考方法を採用し、それには高度なコラボレーションと俊敏性が求められる。皮肉なことに、チームの俊敏性は、属している企業組織の方針と階層型指令系統によって大きく左右させられる。同チームが例え、迅速にプロジェクトを進めたとしても、最終的には経営トップの同意と承認、予算どりを待たねばならず、その「俊敏性」は極めて制約されたものになる。社内起業家はこれらの力学の中で、意義を感じながら、感性豊かで顧客中心のアプローチ方法をバランス良くとっていくことが重要となる。
5. エンパワメント重視カルチャーの中で能力が発揮される
信頼とエンパワメント重視の企業カルチャーの中で、社内起業家たちの能力は最大限に発揮される。厄介な問題に直面した際もその直感的判断を頼りにしている彼らは、自由な雰囲気とフロンティア精神が活発に活かせる「場」を求めているのだ。イノベーション重視の部署や大企業組織の中のすべてのリーダーは、仕事は人間同士の信頼から始まって初めて、限界を乗り越え、その境界線を広げる環境が整うことを認識すべきだ。
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2015年から2017年に実施されたturnstoneの調査は、米国、カナダの参加者数十人のインタビューに加え、SteelcaseとQualtricsとの共同調査も含まれている