「アジャイル」な環境を創り出す
「アジャイル」を成功させるヒント
「アジャイルワーク」を検索すると、2千500万近くがヒットする。アジャイルワークを様々な観点から定義している。「アジャイル」というワードは誤解されやすい。「アジャイル」を正確に理解するためには、まずはその実践方法は企業によっても異なるということ、また、簡単に学べる一方でそれを完全にマスターすることは極めて難解だと認識すべきだろう。「アジャイル」への旅はチームが成果を上げながらそれを完全に掌握するために継続していくことが重要なのである。
「アジャイル」主導の働き方をすでに実践している企業もある。その多くがIT分野のソフト開発チームで、その仕事プロセスは「アジャイル」原則に基づき、スクラムなどの枠組みでサポートされている。また、「アジャイル」という手法に触発された企業も多く、多くはIT以外の業種である。「アジャイル」原則に影響を受けたり、迅速かつ革新的、その顧客ファーストの「アジャイル」カルチャー構築に向けて体質を転換している企業である。
「アジャイル原則やその枠組みは継続学習がベースにあるため、常に個人やチームを成長、向上させようと考えるのです。そして、そこには終点がありません。仕事は常に変化しているためそれをサポートするための仕事プロセスも同様に変化する必要があるのです。」と語るのはSteelcase Applied Research + Consulting (ARC)のプリンシパルであるTracy Brower博士だ。
「アジャイル」手法に興味を持つ世界中の企業と協働するARCチームのメンバーであるBrower氏は、「アジャイルワーク」はプロセスの効果を狙うため、「アジャイル」にとってそれが適切か否かの見極めを常にすることが重要になること、そして、チームを成功に導くように進捗状況を意識的に管理することが重要なのだと主張する。
「アジャイルにとって仕事体験を包括的に捉えることが重要なのです。何故なら、アジャイルには幅広いマインドセットが要求されるからです。」
ARCチームは、企業を評価する際に経営陣や従業員を取り巻く4つのエリアの現況を探るように努めている。
カルチャー
文化規範というものは果たして「アジャイル」原則を強化するものなのか? 「アジャイル」原則が上手く機能するようにチームメンバーは行動しているか? 具体的には:透明性があるか? チームメンバーは物理的に同じ場所にいるか? より大きな目標に向かって密につながり協働しているか?
プロセス
仕事プロセスの要素は「アジャイル」の成功に向けて機能しているか? チームはどのように仕事をこなしているか? 具体的には:チームの仕事プロセスは顧客にとって分かりやすいか? チームメンバーは一時に一事を実践しているか? 物事を試し、反復する際に必ず振り返って学ぶために時間を割いているか?
ツール
ツールやテクノロジーは「アジャイル」プロセスを可能にしているか? 「アジャイル」主導の働き方には仕事ツールもそのプロセスと共に進化する必要がある。具体的には:皆が平等に仕事ツールにアクセスできるか? 知の可視化に貢献しているか? チームメンバーはニーズや需要に基づいて保有しているリソースを適切にシフトできるか?
スペース
スペースはどう「アジャイル」な働き方をサポートしているか? 具体的には:チームメンバーがお互いの仕事を可視化できるスペースか? 他者を迎え入れる仕組みが組み込まれているか? 仕事プロセスの変化に応じてスペースを自由に変更できる裁量権が与えられているか?
Steelcaseは「アジャイル」で顧客ファーストを実現しようとしている。その一方で「アジャイル」を最適にサポートする異なる働き方を可能にするプロトタイプとして「場」を活用しようという継続的な実験が今も同社のIT部門で進行中だ。研究員やデザイナーが、同じスペースで働くプログラマーやアナリスト、IT専門家等からヒアリングを行いながら、設計デザインの方向性を導き出し、職場環境への影響を探っている。
カルチャー
- 存在 – 仕事プロセスを円滑に行うためにチームメンバーは物理的にどの程度一緒にいるべきか、また、遠隔にいたとしても仕事を効果的にこなすことができるか?
プロセス
- チーム組織 – チームは、プロジェクトと規律のどちらで体系化されているか?
ツール
- 情報主導-チームの仕事プロセスの中心にある情報は可視化されていて誰でもがアクセスできるか? あるいは常に視覚的なリマインダーがなくても認知されるか?
スペース
- 所有 – チームには専用スペースがあり、そこに毎日座って働いている、または専用と共有のスペースを移動しながら働いている、あるいは完全に共有スペースのみで働いているのか?
- 柔軟性 – チームはスペースを自由に動き回ることができるか、作業内容に応じて移動しながら働けるか?
これらの質問への答えは対極である場合が多い。まずはチームが現況を明確に把握することで「アジャイル」を最も効果的に実践する方法やその道のりをより深く理解することができるようになる。カルチャー、プロセス、ツール、スペースの側面からどう「アジャイルワーク」を創造するかにご関心がある方は同社のApplied Research + Consulting (ARC) チームにお問い合わせください。
また、ご興味があれば、同社の物理的環境である働く「場」が「アジャイル」原則をどう促進できるかについての記事、「アジャイル」チームをサポートする6つの方法を是非ご覧ください。