視点を変える
ハイブリッドワークは従来の常識を覆す。
典型的な会議室を想像してみよう。中央の一台の長い長方形のテーブルを囲んで全員が正面のディスプレイやホワイトボードがある方向を向いて座っている風景です。画面を見るために身を乗り出したり、隣の同僚の後頭部が気になったり。声が聞き取りにくいことも。
会議の半分以上がリアルとリモート両方のハイブリッドになりつつある昨今、オフィスの設計デザイナーに求められること、それは従来の古い思考方法を捨ててハイブリッド時代の新たな手法に取り組むことです。つまり、部屋にいる人だけでなく、ハイブリッドに適した家具、カメラなどのツールからその配置までも考慮しながら、誰でも利用できる ハイブリッド会議室 を設計することです。
Steelcase のグローバルデザインプリンシパルであるメアリー・エレーヌ・ロッシュはこう述べています。「部屋にいる全員がリモート参加者と目を合わせながら話せて画面コンテンツを情報共有できること。それと同時に、部屋にいる全員を視認しながら活発にコラボレーションできることが極めて重要になります。」
オフィスを求める最大の理由は「コラボレーション」です。しかし、当社がグローバルに実施した 最新実態調査 によると、多くの人がハイブリッドに向けたコラボレーションスペースの欠如に不満を抱いています。「ハイブリッド ・コラボレーション」を成功させるには、照明、カメラ、音声、コンテンツの配置等を映画監督のように捉えることがポイントです。目を合わせながらの自然なコミュニケーションをするにはカメラをどこに配置し、スピーカーやマイクは何台必要か、配線コードをすっきりと収納するにはどうすればいいかなど従来にない視点からスペースを再考することが求められます。
設計デザインにあたっては、ITパートナーであるマイクロソフト、ズーム、ロジテック(日本はロジクール)、クレストロンに協力を仰ぎ、円滑なコミュニケーションと誰にも公平で使いやすいスペースづくりを目指しました。真に機能するハイブリッドオフィスには、こうした綿密な計画性と実施設計をベースにした最新テクノロジーとスペースの完全なる融合が不可欠です。
その結果として、カメラのアングル、デバイスや家具の配置を共同で設定し、ハイブリッドコラボレーションを成功させるための画期的な手法を導き出しました。
縦から横へ
ハイブリッドミーティングには、従来とは異なる視点でスペースを設計することが鍵になります。リアルの人数が少ない場合、部屋を縦 (短い方の壁を向く)ではなく、横 (長い方の壁を向く) に使うこと。それによって両端の人も含め、部屋の全員を無理なく映像に収めることができるため、リモート参加者は全員の表情や仕草から細かな反応を読み取ることができます。
直線から曲線へ
四角い家具や直線的なレイアウト配置から、扇型形状など曲線を生かした家具を利用することで、リアルとリモート参加者全員が目線を合わせながら対話ができ、公平かつ親しみがある印象を与えます。最上のウェブ体験には使用する ミーティングテーブル 形状が今後は極めて重要な要素になります。
「人間らしさ」主体のハイブリッド
「私たちがより多くの時間を費やしたのは、リモート参加者の顔を常に画面に並列に表示するというよりも、どうやったら皆がより積極的に対話することができるかということでした。」とロッシュは語っています。設計チームは、リモート参加者の環境を調べ上げ、いかに対面に近いコラボレーション体験を実現させるかを探りました。その際のポイントはより高度な柔軟性と視界の改善でより自然なコミュニケーションを実現することでした。複数のモニター、モバイルデバイス、ソフトとハードの最新機能によって、人とコンテンツを画面分割にし、顔表示用カメラが目線を合わせながらのより自然な対話を可能にしました。
単一選択から多肢選択へ
多彩なスペースやテクノロジー、多用途な家具やモニターなど。ハイブリッドコラボレーション成功のカギはその豊富な選択肢をいかに組み合わせるかです。さらにスペースの利用方法、サイズ、利用可能なソフトとハードの機能など、さまざまな要素を考慮する必要があります。また、チーム専有スペースでは可動性家具がより威力を発揮し、共有スペースではデバイスのテストやトラブルシューティングに費やす時間がほとんどないため、固定レイアウトの方が成功する確率が高くなります。