コラボレーション

デザインQ+A:新Steelcase Chicago WorkLife体験

SteelcaseとそのブランドCoalesse、Turnstone、他パートナーブランドからなる新Chicago WorkLifeがリニューアル

所要時間 11分

Steelcaseの米シカゴのライブショールーム、Steelcase Chicago WorkLifeが2008年に創設されて以来、職場環境における人々のニーズや期待は大きく進化した。新Chicago WorkLifeは今日、人が真に望んでいる働き方を提示している。SteelcaseとそのブランドであるCoalesse、Turnstone、他のパートナーブランドで構成されたリニューアルスペースがシカゴのマーチャンダイズマート3階の東ウィングにオープンした。 職場環境デザインにおける新たな旅立ちを示唆する新ショールームは、NeoCon 2018家具見本市においてベスト・ラージ・ショールームとベスト・オブ・ネオコンに輝いた。米シカゴで開催される商業デザイン業界の家具見本市は50周年目に突入した。

この歴史的建造物でもあるマーチャンダイズマートの中央に構えたスペースを通して、Steelcaseは多彩なユーザー体験を届けたいと願った。現在そして未来に向けてのスペース提案と新たなメッセージを発信するものでなければならなかった。この新スペースはSteelcase Design Studioを率いるJames Ludwig、Cherie Johnson両氏とShimoda Design Groupの共同創設者であるJoey Shimoda、Susan Chang両氏と協働で創り上げたもので幅広い製品群を紹介するだけでなく、実際に社員が働くライブオフィスだ。この度360はJohnson、Shimoda両氏に、その大胆なリニューアルデザインとテクノロジー進展における今後の職場環境の展望について聞いた。

360: このプロジェクトの骨組みづくりはどう始まったのですか?

Cherie Johnson:まずは中核となる課題を念頭に設計デザインを考え始めました。その課題とは働く人のウェルビーイングをサポートしながら生産的に働くにはどうすべきかということです。私たちはオフィスで働く人がまるで自宅にでもいるように心地良く感じながら仕事をして欲しいのです。物理的環境には個人やチームが仕事で多くを達成し、人をつなぐツールとなるのです。これらの要素は全て上手く機能します。今回、私たちはSteelcaseとそのブランドであるCoalesse、Turnstone、他のパートナーブランドを結集させて今日の活力ある働き方を持続させるための「場のエコシステム」を提案するつもりです。

Joey Shimoda:Steelcase Chicago WorkLifeは2つのエリア、WorkLifeとWorkCaféに分かれています。Suite 30に構える従来のショールームでは、個人やチームの成果の向上を目指すテクノロジーを紹介しながら建築内装関連製品や新チェアなど多彩なレイアウトを提案しています。Suite 301に位置するWorkCaféでは、CoalesseやTurnstone、パートナーブランドの製品を混在させながら社員が働く場所をチョイス&コントロールできる刺激的で多種多様なカジュアルな「場」を散りばめています。

Joey Shimoda、Susan Chang両氏は2000年、ロサンゼルスの急成長するアート地区の倉庫にShimoda Design Groupを共同設立。背面にあるのが著名な「Woody」作品。

360: 貴方のデザインでテクノロジーはどのような役割を持ちますか?

CJ: ハーモニーが必要とされるデジタルとリアルの間にはある種のテンションがあります。コラボレーションし、つながり、心地良く感じながら仕事に没頭する瞬間を演出することでそのハーモニーが実現できるのです。 WorkLifeの空間は、「クリエイティブ・スペース」等を含む当社の広範囲にわたるソリューションがデジタルツールと融合しながら、人が創造的につながりアイデアを発展できる「場」になっています。

研究によると、人間は作業を一度邪魔される毎に再集中するまで23分を要するといいます。これはオフィスでの生産性にとっては重大な障害です。WorkLifeでは十分な情報に基づいて意思決定ができるようデータを活用しています。当社の提案する「スマート+コネクトワークプレイス」では、データ駆動型のコラボレーション環境を生み出すためにレイアーになったテクノロジーを組み込んでリアルタイムの情報を提供できるようにしています。デバイスが集中の妨げではなく、業務向上のためのテクノロジー利用、環境改善のためのデータ活用の提案です。こうしてテクノロジーとオフィス家具を融合させることで個人やチームの集中とコラボレーションワークを推進すること、それが私たちの目指したものです。

JS: 創造性には必ずデジタルツールが必要と言うわけではありません。要は人々の好奇心や参加を掻き立てたいのです。WorkLifeとWorkCaféスペースの間には自分が心地良く感じ、アイデアを表現したいと思える数々のスポットが散りばめられています。人間の感性を刺激し、つながりたいと思えるスペースです。異なる雰囲気の中でアイデアは発展すると私たちは考えるからです。今までにないフレッシュかつ斬新、居心地の良い環境を創り出すことでスペースは機能するのです。

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

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STEELCASE CHICAGO WORKLIFE体験

360: WorkCaféに設置された大胆なウッド作品のアイデアはどう浮かんだのですか?

JS: 人を迎え入れる要素を敢えて愛情を込めて「Woody(ウッディ)」と名付けました。家具でも建築でもフォルムそのものがどうリッチなユーザー体験をもたらすかという対話を引き出すきっかけになればとデザインされました。まずは「わあ!どうやってこれを造ったのだろう?」という最初のリアクションがあって、職人技と技術について話が続くということを想定したのです。人間の創造性とは取り巻く周囲から触発されることが多いからです。

「Woody」とはアナログとデジタルの真の融合で完成しました。まずはソフトを活用して抽象的にデザインされ、アーティストChris Mroz氏がそのスケッチを仕上げました。その後、木工曲げ職人のPure Timber氏と共同でつなぎポイントのデータを取り、手作業で屈曲を施して製作しました。電動工具を駆使し固く組むには日本の工具が活躍しました。

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「Woody」の製作

「Woody」は職人技と技術についての対話の火付け役となることを狙いとした。

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「Woody」の製作

「Woody」は木工アーティストのChris Mroz氏が拠点とするワシントンのギグハーバーにて製作された。(参照:Chris’blog「Woody」の製作)

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「Woody」の製作

「Woody」は最初から分解されることを念頭にデザインされ、シカゴのマーチャンダイズマートを熟知する地元の木工製品会社によって設置された。

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「Woody」の製作

このインストレーションに関わったアーティストのChris Mroz氏は、この製作には4カ月を要したが最初から全てやり直すことも出来ると語った。

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「Woody」の製作

後に「Woody」と名付けられる最初のスケッチは、新WorkCaféで人を迎え入れるエリアのウッドの建築特性と非常に似ていた。

360: この設計デザインをする際に古さと新しさのバランスをどう上手く機能させたのですか?

CJ: 月日の経過を現す傷やレイヤーは敢えてを残しました。今日、人はオフィスにも本物感や透明性、開放的な雰囲気を求めています。よって従来の社員が働くエリアをよりオープンにするためにガラス壁を排除しました。古さを再び新しさに変えるにはサーフェスや空間をどう演出するかに多くの時間を費やしました。

JS: そこで試したのがサーフェスに世界の中で自分がどこに位置するかを知らせる機能です。サーフェスを通して自分の認識を転換するできることです。私たちはここで働いている人をシカゴとつなぎたかったのです。また、例えば、WorkCaféの柱をむき出しにすること、それは歴史や素材を際立たせることにつながります。欠けたコンクリートのヒビや使いこまれた艶感はこの建物の一部として現存する建築を尊ぶ意味を持ちます。また、WorkCaféで昔Steelcase Healthのショールームにあった防火扉を再利用しています。これはここで働く人とスペースを結びつける遺物として私たちは捉えました。

Steelcaseのグローバルデザインダイレクター、Cherie Johnson氏は2007年にSteelcaseに入社し、Steelcaseの全施設のデザインを統括している。

360: WorkLifeの設計の中でWorkCaféはどういう意味を持ちますか?

CJ: 仕事におけるEQ(心の知能指数)は、IQ(知能指数)と同様に重要です。これと同じです。WorkLifeで仕事の成果を向上させるためにテクノロジーを利用する一方で、WorkCaféは社会的なつながりを育み、包括的なウェルビーングをサポートするものとして位置づけされています。前アメリカ軍医総監で海軍中尉のVivek Murthy博士は、孤立感は蔓延する流行病であり(HBR)、実際に命を縮めていると警鐘を鳴らしています。職場での社会的つながりは優先すべき戦略事項でもあるのです。WorkCaféで本物の社会的つながりを築くようにCoalesseやパートナーブランドの製品が数多く設置されています。思考を膨らませ、私たちが直面する数多くの課題を挑むために人間同士が深くつながることは不可欠です。そのためには自己を発見し、絶え間ない変化のペースに適応できる物理的な環境が重要になります。

WorkCaféの他エリアでは、個人やチームが批判的思考の実践に役立つような多彩なセッティングが配置されTurnstone製品に焦点が当てられています。ここでは批判的思考を脅威としてではなくイノベーションのためのチャンスとして捉えられています。絶え間なく起こる変化に人間はもちろん「場」も適応していかなければなりません。これらのスペースは人が学びコラボレーションするための行動パターンを創り出すように設計デザインされています。

360: 訪れる人が驚くようなものは何かありますか?

JS: 仕事と生活の融合を目指したこのアイデアの検証に私たちは何年も費やしてきました。WorkCaféのナリッシュメントエリアは最上のレストランのようでまるで自宅にいるような感覚を体感できるでしょう。そこにあるのは心地よいホスピタリティ。パーソナルなアイデアがスペースの一部になる感覚を実感できると思います。あらゆる人のためのスペース。ホームとオフィスの融合。そこには他にはない雰囲気があるのです。人がハッピーになりより長くそこに居たいと思わせる何かです。

CJ: どれか一つを選ぶことはできません。WorkLife とWorkCaféの両方を活用する意味がそこにあるからです。ウェルビーングを念頭にしたスペースはデータやテクノロジーを利用できるスペースと同様に重要です。職場で人がより密につながることで仕事での充実感や生産性も高くなり、やる気や労働意欲も増します。一方で孤立感や燃え尽き症候群から社員を守ることもできます。今日働く人が真に望んでいる働き方をサポートするための「場のエコシステム」を活用することで、物理的環境がどう働く人をサポートするかについて当社が学んだことを今後も発信していくつもりです。


新たな1日にて、Steelcase Chicago WorkLifeで紹介された新製品やイノベーションの数々を見てみよう。

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