サステナビリティスポットライト:循環型経済(サーキュラー・エコノミー)
世界を前進させる方法を再考する
戦略コンサルティング会社のMcKinsey & Company社は、急速に変化するビジネスモデルが、今後5年以内に10万もの仕事を創り出し、2025年までに1兆ドルを世界経済にもたらすと試算している。この従来型とは異なる経済がサーキュラーエコノミーと呼ばれる循環型経済である。
Steelcaseは100人のサステナビリティリーダーの1人として「The Circular Economy 100サーキュラー・エコノミー100」への参加を要請された。サーキュラー・エコノミー 100は英国のEllen MacArthur財団が設立、推進するもので、再生可能な循環型経済に貢献している多業種にわたる企業や個人で構成され、メンバーにはUnilever、Phillips、Cisco、Renault社などが名を連ねる。
これは廃棄物の削減、資源回復の最大化、革新的な製品やサービス、手法を通しての経済成長をもたらすシステムづくりへのシフトで、現在主流となっている「取って、創って、捨てる」という「消費型経済」を消費資源を有効活用する「循環型経済」へと転換しようとする考え方である。
これは廃棄物の削減、資源回復の最大化、革新的な製品やサービス、手法を通しての経済成長をもたらすシステムづくりへのシフトで、現在主流となっている「取って、創って、捨てる」という「消費型経済」を消費資源を有効活用する「循環型経済」へと転換しようとする考え方である。
2010年にヨットによる単独世界一周の最速記録を打ち立てたEllen MacAurthur氏によって創設された同財団は「サーキュラー・エコノミー」という概念とともに、いまやビジネス界で注目を浴びている。フォーブズ誌は「いよいよ実現の時期が到来したアイデア」としてサーキュラー・エコノミーの特集を組み、今年3月にはバンクーバーでの2015年TEDコンファレンスでもプレゼンターとして登壇している。
彼女によれば、セーリングでの経験が世界がどうあるべきかの根本的な見方を変えたと言う。3か月にわたるヨットでの世界一周には必要とするものをすべて持って行かなければならず、その持ち物がすべてとなる。
ある意味で、誰もが有限の資源を使って旅をしている。世界経済がより多くのものを消費し、資源が枯渇していく中、企業はエネルギーや資源を今まで以上により効率的に使用するよう努力を強いられている。2030年までに開発途上地域のおよそ30億人もの消費者が中産階級に入り、資源高騰も予想されるとすれば、この直線型経済モデルでは消費者需要を決して満たすことはできない。
Steelcaseは、社内でも「ディスラプティブなイノベーション」を推進し、それがいかに複雑で困難を伴うものであるかを身を以て分かっている企業である。前進するということは過去のソリューションや「従来通りのやり方」を捨てることを意味するからだ。例えば、同社が2004年に発売したThink®チェアはその当時は画期的で、循環型経済のためにデザインされた世界初のCradle to Cradle™認定製品として高く評価された。
そして、その後、2012年までに同チェアを再考し、イノベーションによる機能の充実、最小部品での構造、さらなる耐久性の実現を達成し、再発売に至っている。また、再使用とリサイクルのプログラムであるPhase 2 ReMarket™ (北米のみ)やEco’Services (フランス、スイス、ベルギー、ルクセンブルク) の実施で、使用後の製品を廃棄物として処理するのではなく、循環型プロセスに組み入れるフローも確立している。
21世紀には数々の画期的なイノベーションや劇的な成長が期待されている。Steelcaseでは時代遅れの経済構造からいち早く抜け出し、これまでに経験したことがないような大きなスケールでプラスの変化を起こしていくことを目指している。