パイロット運用 + プロトタイプ:オフィスがラボになる
パイロット運用やプロトタイプスペースでこれからの働き方や行動変容を試す
ここ数年間で、ハイブリッド勤務の導入など人々の働き方は大きく変化しました。そして、今、多くの企業がその新たな働き方やオフィス環境の検証・評価、再構築に向けて動き出しています。しかし、その変革の規模によっては人材戦略からコラボレーションの度合いや予算に至るまであらゆる領域に影響を及ぼす可能性があります。
パイロット運用や試作としてのプロトタイプスペースは、新たな空間デザインや家具、テクノロジーを導入して新たな働き方や行動変容などを検証できるため、その後の本格的導入の成否を決めるための手段として有効です。
少人数のグループを運用期間中に移動させ、そこでの働き方や行動を試すことができます。通常、プロトタイプスペースは小規模&カジュアル、パイロット運用は大規模&フォーマルという傾向があります。今までにない斬新なコンセプトを試し、何がうまく機能し機能しないかを発見し、改善し、進化させることができます。
パイロット運用とパンデミック
危機的な問題や困難をきっかけに大きな変革が動き出します。コロナ禍を機に人々の働くことへの意識やオフィスの在り方は急速に変わりました。そして、今、その新たな在り方を成功裡に定着させるためにプロトタイプやパイロット運用に注目が集まっています。
一部の企業にとっては、パイロット運用とはリスク軽減のための新たなスペースを試す方策のひとつであり、他の企業にとっては、安全かつ安心、結束力や生産性、快適さといった多様な組織ニーズへの対応を探る機会をもたらします。いずれにしてもこれからの不確実な時代にあって意思決定を慎重に行うための実用的な情報を生み出す方策であることは間違いありません。
世界の多くのリーディングカンパニーは、コロナ禍をハイブリッド型モデルへの移行など働き方再定義のための絶好の機会と捉えています。そして、オフィスの再構築はコロナ禍を契機により加速しています。プロトタイプとパイロット運用は、まさに学習と改善を繰り返すこれからの「学習する組織」の中でのオフィスの再構築を成功させるための「ラボ」として定着していきます。
進歩的企業に学ぶ
当社の調査によると、多くの企業はオフィスを再考し、再構築し始めています。
- 実際、Steelcaseの世界的調査によると、企業経営トップの96%が新たな働き方の浸透に伴ってオフィス戦略を方向転換することを考えていると答えています。
- また、新たなスペース構築には従業員の声を反映させながらベストな決定を下したいとし、その方法としてパイロット運用を導入する予定です。世界中の調査対象企業の93%がパイロット運用導入を考え、その54%は大規模で包括的なパイロット運用を、39%は小規模なパイロット運用を計画していると答えています。
そのメリット
プロトタイプスペースやパイロット運用のメリットを考えてみましょう:
- 大規模な投資の前にコンセプトを小規模でテストできるため、投資のリスクを軽減できる。
- 想定外の問題点や課題、潜在的な落とし穴や未知のものを顕在化させ、その反応を予測できる。
- 大胆な目標に挑むことで進化・前進への勢いを生み出すことができる。
- パイロット運用プロセスに従業員を参加させることでより豊かな働き方を加速させることができる。
- 従業員に発言権を与えることで従業員からは抵抗よりも賛同が得られやすい。
- 働き方や働く「場」の改善に向けて新たなアイデアを積極的に取り入れるという積極的な企業姿勢をアピールできる。
- 新しいことへの挑戦と学びの文化を形成できる。
- 有能な人材を引きつけ、定着させるための豊かな働き方のための投資であることを示せる。
プロトタイプとパイロット運用
パイロット運用はとかく綿密に計画されたフォーマルで洗練されたスペース(時に高額)と思いこみがちであるが、実はもっとカジュアルで合理的、まとまりがないということが多いのです。
パイロットスペースよりカジュアルなプロトタイプスペースでは、補完的な家具を活用しながらより対話型に配置することで同僚との交流がどう変化したか、対話はよりカジュアルで自発的になったかどうかを試すこともあります。または、会議室に新しいテクノロジーを導入し、QRコード対応アンケートでユーザーの声を収集することもあります。フリーアドレスの場合、チームで新たな行動規範を設定してメンバーの意見を聞くこともあります。ある顧客は、簡単に家具のレプリカを作って(例えば、プチプチと段ボールチューブで作ったテーブルやボックス、バインダークリップで作った収納など)、その家具を自由に配置しながら働き、どれが最も効果的であったかなどを調べています。
何か新しいことに挑戦し、従業員の意見や参加を促しながら互いに学びあう雰囲気を作ることは前向きなメッセージを発信することにもなります。水中に深く潜らなくてもまずはつま先を水に入れることに価値があるということです。まとまりがない試験的運用からの学びが最終的にはより良い結果へと導きます。
さらにパイロット運用では、集中、コラボレーション、学習、交流、小休止(回復)など複数のワークモードをサポートするスペースを備えている場合もあります。従業員が自ら働く場所を選択できる環境を創出することによって、1日を通して複数のワークモードを行き来しながら仕事をこなすことができます。
要はプロトタイプとパイロットの両スペースでは完璧を目指すものではなく、あくまでも試行、学習、改良、再試行のサイクルを何度も繰り返すことが重要なのです。何が機能し機能しないかを学びながら企業にとって最適なパターンを特定できるようになります。
(注:本ホワイトペーパーでは、主にパイロット運用について説明していますが、形態に関係なくシンプルにわかりやすくすることが肝心です。)
より包括的なアプローチ
プロトタイプやパイロット運用は、時に物理的環境だけが対象になるわけでもありません。働き方や働く「場」を改善するための新たなアイデアをテストするにはその検証範囲を広くすることをお勧めします。例えば、人々の行動に焦点を当てたプロトタイプやパイロット運用もひとつです。この場合、人々が業務で、スペースで、相互にどうつながるかのあらゆる方法を導き出します。
パイロット運用の目的は、決して魅力的な「場」を創造することだけではありません。最終的にはそこでの行動や仕事の仕方を望ましい方向へと変容させるように空間を設計することにあります。空間とそこにいる人の行動は密接に関係しているからです。
「場」がそこでの行動をカタチづくり、その行動が時間の経過と共に組織文化へと醸成されていきます。
空間デザインや家具だけでなく、組織文化や業務プロセス、ツールなど働き方に関わるあらゆる側面を検証することも不可欠です。組織文化とは従業員の行動規範や価値観でもあり、業務プロセスは働き方で、ツールとはテクノロジーなどの仕事ツールを指します。
組織文化、業務プロセス、ツール、スペースの4つの要素のすべてを連携させる理由は、組織としての緊急課題(多くの場合、従業員エンゲージメント、イノベーション、生産性の向上など)を達成するためです。包括的なパイロット運用には新しいテクノロジーとの統合も多く、必然的に業務プロセスや組織文化に大きな影響を及ぼします。
下記の働き方モデルは組織文化、業務プロセス、ツール、スペースの間の相関関係を示しています。パイロット運用を検討する際には、組織文化、業務プロセス、ツール、スペースの4つの側面に関する質問事項に答えることで直面する課題をまずは把握しましょう。
組織文化
- 組織文化をどう変えたいか?
- 理想的な組織文化の特長とは何か?
- どのような行動を奨励したいか?
業務プロセス
- サポートすべき業務プロセスは何か?
- パイロット運用のプロセスとは ? また、従業員の声をどう反映させるか?
- パイロット運用が将来の本格的導入にどう影響を与えるか?
ツール
- どのテクノロジーを試したいか?
- テクノロジーは従業員の行動にどう影響するか?
- テクノロジーの影響をどう測定するか?
スペース
- パイロット運用はどこに配置するか?
- どのワークモードをサポートするか?
- どのようにスペースを設計するか?
変革の規模
パイロット運用の規模や範囲は目指す変革の程度によっても異なります。下記ピラミッド図は、この変化を階層で表しています。
最下段が「現状維持」。但し、新しい家具を試すなどのプロトタイプスペースやパイロット運用が含まれる場合もあります。
次は「改良」で、よりカジュアルなコラボレーションを促すトライアルスペースなど中規模の変更を試すパイロット運用があります。
「再定義」は、組織文化、業務プロセス、ツール、スペースの全ての側面での大幅な変更を念頭にしたパイロット運用です。例としては、プロジェクトのサイクルタイム短縮などを目指すアジャイルワークを試すIT部門など。
最上段にある「変革」は、作業環境全体の改革と組織やチーム文化のシフトを示唆しています。例としては個室や会議室が多い旧態依然としたオフィスでフリーアドレスやカジュアルな交流ゾーンなどを増やし、コラボレーションとコミュニケーションを根本から見直すなどが含まれます。
また、その望ましい変革の程度によって運用期間や徹底度も異なってきます。階層の上にいくほど、組織文化、業務プロセス、ツール、スペースの各領域全体に影響を与える可能性は高くなります。
パイロット運用プロセス
パイロット運用はひとつとして同じように進むことはありませんがそのステップには共通点もあります。まずは目的を明確に設定すること。なぜパイロット運用をするのか? 何を学びたいのか?成功をどう検証し、学んだ教訓をどう生かすのか?などを定義することからすべてが始まります。
そして、具体的な目標を立てること。おそらく多くが新たな働き方やオフィス空間をテストしてみたい、組織文化を改善したい、新たなテクノロジーを活用して今までにないコラボレーションを実現したい、新たなセッティングを組み入れたいなどその目標は企業によってもさまざまです。
その後の手順としては、パイロット運用の詳細なる計画の策定、スペース構成、家具の設置、働く人が快適に仕事をこなせる工夫などが含まれます。また、定期的にチェックし、機能している点としていない点を把握し、フィードバックでユーザーのリアルな声を収集することも重要です。
パイロット運用を計画する
パイロット運用を計画する際には、運用担当責任者を任命することや社内の不動産/施設、人事、ITなどの部署からの協力も不可欠です。さらにパイロットスペースに配置される候補グループ内の代表者も決定しなければなりません。
パイロット運用プロジェクトを成功させるには経営幹部からの支持やサポートも欠かせません。その際にはパイロットスペースへの招待やツアーや会議、さらにはトライアルワークデーへの参加なども有効です。経営トップが運用に対して曖昧な態度になればなるほど従業員の賛同も得られなくなります。
また、専門知識と客観性を持ったパイロット運用が実行できるサードパーティの専門家を参加させることも検討に値します。
パイロットスペースで働く
パイロットスペースに誰を配置するかを決定する際には下記の基準を考慮しましょう:
- 自発的である。自分の考えに固執せず違った考え方も素直に受容でき、新たな挑戦に喜んで努力を惜しまないグループであること。多くの場合、新たな働き方やスペース、テクノロジーに対する試みであることが多いため、古い従来型のタイプのチームやグループは理想的な候補グループとは言えません。
- 信頼できる。変化に対する組織の抵抗勢力はつきものです。パイロットスペースには社内でも広く認知、信頼されているワークグループを配置することで少しでもその抵抗を抑えることができます。
- 関連づけられる。パイロット運用で試す業務の性質は他グループにも関連づけられることが重要です。もちろん、すべてのグループの業務内容は異なりますが理想的には業務内容が社内的にも広く認知されているグループを採用することでパイロット運用の結果を組織全体に展開できるようになります。
また、パイロットスペースの近くに位置するパイロット運用に関与していないグループには気を遣うことも考慮に入れましょう。近くで日々様子を目にすることから社内の噂の発信源になることもあります。パイロット運用の意図を理解してもらい、早期にそして頻繁に対話をするために開始後1か月ほどでパイロットスペースツアーを実施することも方策のひとつです。
注意点:通常は施設担当グループがこの種の変更を計画、主導しますが、デメリットもあることも考慮に入れてください。もちろん、経験と知識の観点からはパイロット運用を担当するには相応しい一方、客観的視点から先例のないインパクトのある革新的な空間設計や行動変容を起こすことが難しい場合もあります。妥協案として施設とは無関係のグループと共同でプロジェクトを進めることをお勧めします。
パイロットスペースの配置を考える
オフィスが高層ビルのフロア全体の場合もあれば、その一部を占める場合、オフィス以外の一時的な仮スペースの場合と状況もさまざまです。
そして、その面積は目的によって異なります。
例えば、新たなコラボレーションスタイルを試すなどひとつのワークモードだけのパイロットスペースの場合は、少人数を収容できる広さがあれば十分です。また、同グループに属していない個人の集合体の場合もあります。ワークモードが集中や小休止などの場合は単純に周辺の共有スペースに移動すればいいという場合もあります。
一方、すべてのワークモードをサポートするパイロット運用で、少なくとも10人、さらには50人以上を収容する場合もあります。この場合は自律完結型、つまり仕事の全てがスペース内で完結できるように設計しなければなりません。また、チームは通常、協働することに慣れているため全員を収容することになります。
パイロットスペースは十分なスペースがある場所ならどこにでも配置できます。しかし、視認性が高い場所、つまり、社内で目に留まりやすい場所、人が頻繁に行き交う場所などに配置するのが理想的です。
高い視認性は企業の透明性とも関係しています。パイロットスペースを目立つ場所に据えることで発信力になります。逆に目立たない場所に配置すると謎めいていて要らぬ邪推や憶測につながることもあります。
また、パイロット運用の成功には企業の方向性を決定する経営幹部からのサポートが不可欠であるため、なるべく経営幹部のスペースに近い場所に配置し、その最優先事項として認知されるようにすることが肝心です。
パイロット運用の期間
パイロット運用の期間は何を試すかによっても異なってきます。少人数で新しいテクノロジーが統合されたスペースを試すだけなら数週間で十分です。例えば、ワークカフェなどひとつのタイプのパイロットスペースを対象としている場合には30日程度の短期間で軌道修正できる有意義なフィードバックを得ることができます。
包括的なパイロット運用の場合、行動変容の測定に十分な時間を確保するためは少なくとも90日程度は要します。例えば、集中、コラボレーション、学習、交流、小休止といった多様なワークモードを試すためなどはこれに当たります。
通常、あるグループがこのタイプのパイロット運用に参加した場合、1日の仕事ニーズの変化に合わせてスペース間を自由に行き来することが求められます。このような場合には新たなスペースへの順応に時間がかかるため、行動変容につなげるまでには最低90日はかかると考えます。
よって、最初の90日はパイロットスペースに大幅な変更を加えないことが前提です。但し、試すということが目的なので、席や間仕切りを移動できるなどの小さな変更は意識的に奨励しましょう。
最後に、全ての席にホワイトボードを設置することはパイロットスペースには欠かせない要素として検討しましょう。
積極的な情報発信
パイロットスペースは実験としてのラボ以上の効果をもたらし、組織の優先事項を位置づけるツールとしても機能します。パイロット運用に関係ない人も含め、社内全体に企業としての方向性を知らせる格好の機会になります。
パイロット運用を実施するという今までにない試みが、従業員の自発的な学びや行動受容、従業員参加型の組織風土を根づかせるなどポジティブなメッセージを発信することになります。
また、パイロット運用の詳細を発信することで会社が何に価値を置いているかを従業員が理解できるだけでなく、新しいテクノロジーを組み込んだり、今までにないコラボレーションスペースをテストしたりすることで今後の働き方の変化を受け入れやすくする準備が整います。
パイロット運用のサイズに関わらず、パイロット運用を実行に移し、それによって何が起こるかということを発信すること自体が戦略として有効です。
チェンジマネジメントとその準備
パイロット運用を語る際には、チェンジマネジメント(組織変革のための準備や管理)という経営論を避けては通れません。まずはマクロ的観点からすると、オフィスの大幅な変更を伴うパイロット運用の多くは将来の組織変革に向けてのチェンジマネジメントの一貫として位置づけられます。
ミクロ的観点からは、その規模に関係なくチェンジマネジメント的サポートがプロセスの一部として機能します。全体のオフィス変革に伴うチェンジマネジメントのプロセスの多くはパイロット運用プロセスにも応用できます。
パイロット運用のプロジェクト管理とはそれ自体を運営し、管理することを指します。一方、チェンジマネジメントにはユーザーが新たな働き方に順応できるようにサポートするなど人を管理することも含まれます。よって適切な準備をせずにパイロットスペースに人を移動させることは失敗の元になります。
下記はパイロット運用の手順ですが、その運用規模に応じて柔軟に変更できます:
- パイロット参加者と経営幹部とのコミュニケーションを密にすること。パイロットスペースの機能が会社の経営目標に合致していることが最終的な従業員の行動変容につながります。例えば、コラボレーションの強化、意思決定の迅速化、カスタマーサービスの向上など。
- スペース入居日が重要。入居する際の第一印象を良くするさまざまな準備や仕掛けがパイロット運用の成功を左右します。例えば、ランチを持参する、オリエン資料を提供する、新しいテクノロジーを説明できる IT担当者を配置する、移動を簡単で楽しいものにするなど。
- パイロット運用中のコミュニケーションは出来るだけ頻繁かつ明瞭に繰り返すこと。パイロット参加者には「スペース利用にあたってのガイドライン」を提供し、周囲の人もその目的と目標(何のために何をするのか)に頻繁に触れられる機会を設けましょう。
- 参加者のフィードバックを収集すること。参加者が多彩なチョイス&コントロールの中で自在に動けると仕事への意欲が向上する傾向があります。上司からの指示だけでなく、自己判断のもとに自発的に動くことができると戦略はほぼ成功したようなものです。
- チェンジマネジメントの他の側面も検討すること。例えば、パイロット参加者に新たなスペースを利用するにあたっての独自のマナー&ルールを作成するよう促すなど参加者主導にする、パイロット運用の開始または終了を祝うパーティーを主催する、オープンハウスまたはツアーを実施する(パイロット参加者がツアーを担当)、パイロット運用中に他の従業員がスペースを来訪できるようにするなど。
最後に、参加者がスペースに馴染むには時間がかかることも忘れないでください。新しい仕事の仕方や行動に慣れるまでは継続的なサポートや励ましは欠かせません。
検証の重要性
パイロット運用から実用的な結論を導くには、多くのデータを収集してパイロット運用がどの程度機能したかを検証する必要があります。まずは実施前に成功への仮説を立て、実施後にその効果を検証し、次のステップを示すことです。検証を重ねないと裏づけに乏しいコストだけがかかる意思決定をすることになります。
チェンジマネジメントと同様、検証方法もパイロット運用の規模によって異なります。規模が大きければより包括的な検証を要します。
- ビッグデータに集積されたデータは、パイロットスペース内での人の行動や態度の変容や関係性を定量的に分析します。センサーでのスペース稼働率や生産性、コラボレーション、満足度を分析する従業員調査と同様です。
- 幅広い情報を収集するビックデータに比べてシックデータ(厚いデータ)と呼ばれるものはより質的な情報を収集し、限られた範囲でのより深いインサイト、予想もしていなかったデータを提供します。例としては、ユーザーへのインタビュー、フォーカスグループ、エスノグラフィー、さらには人々がどうやって仕事に集中し、同僚とつながり、作業間をどう移動するかなどの現場での行動観察などがあります。
- さまざまな方法を組み合わせて導入することが最も効果的です。定量と定性の両データを活用することでより確かな効果検証ができるだけでなく、前進に向けての最善の方法を発見できます。
- 入居前後に必ず同様の検証手順を踏み、入居前と入居後の両データを比較できる基準を必ず確立してください。利用実態の回答は入居前と入居後では大きく異なる可能性があります。
- 複数のワークモードを含む包括的なパイロット運用を検証する場合は、入居後の調査は少なくとも入居後90日を過ぎてから実施してください。理由としては入居者が新たな働き方に順応するまでには一定の期間がかかるからです。たとえ、パイロット運用が成功したと感じたとしても終了後の検証は必ず実施してください。想像もつかない貴重な発見が隠れている場合があります。
追記:検証をすることは従業員エンゲージメントの向上にもつながります。従業員の声を反映しようという企業姿勢を示すことでパイロット運用や将来への目標や戦略への賛同や協力が受けやすくなります。
パイロット運用終了後
パイロット運用の終了に近づいたら、必ず参加者に感謝を伝え、その結果を経営トップに報告してください。パイロット運用で最も成功した点、今後の展開方法、何を学び、何を決定するかなどを明確にすることが今後の前進への鍵になります。
パイロット運用の結果はゴールではありません。価値を生み出すために実験しながら学び続ける組織文化が企業の競争力を高めていきます。
是非ご相談ください
プロトタイプスペースをまずは導入したい、本格的なパイロット運用を導入したいなど各企業様に適した規模での計画とその導入をサポートいたします。
- 目標と検証工程を確立する。
- 入居グループと場所を特定する。
- 新ニーズを満たすスペースレイアウトの提案及び既存スペースを改善する。
- 各企業に見合ったアドバイスを提供する。