それは「姿勢」以上のもの: 資源循環型を実現した新たなスツール
プラスチック廃棄物をリサイクル可能なハイブリッドワーク用スツールへ製品化する
循環型経済の重要性がかつてないほど高まる中、Steelcaseにとって化石燃料を使用しない製品開発は喫緊の課題でした。例えば、より少ない環境負荷、資源循環型、持続可能性を考慮したこれからのハイブリッドオフィスコラボレーションを念頭に置いた多用途かつ柔軟性の高いチェアの開発です。 Steelcase開発チームは、植物由来の樹脂や再生海洋プラスチックなどさまざまな環境負荷の少ない材料での実験を重ねた結果、仕事ライフの使用頻度に耐えるには別の材料が不可欠であると判断しました。そこで出会ったのが世界最大の化学メーカーBASFの高度なリサイクル技術「Ccycling」でした。
.環境負荷を抑え、ハイブリッドワークのために設計されたスツール
Steelcase Flex Perch Stool(スチールケース・フレックス・パーチ・スツール)は、可動性や柔軟性、ダイナミックなコラボレーションへのニーズの高まりに応えるために開発されました。Flex Perchは、活発に動きながら参加するブレストやアイデア出しのミーティングで、小休止するようにちょこっと腰かけ、コンテンツを見ながら熟考し、また、動くという素早い動作を支えます。何台でも入れ子式に重ねて「魅せる」コンパクト収納も魅力のひとつ。ミーティングで必要な時には素早く広げて配置できます。また、Steelcase Flex Collectionのアイテムとして、軽量なので簡単に持ち運びが可能、硬い床やカーペットの上を滑るように動くので機動力もあり、数秒以内で簡単に設置できます。
電子機器廃棄物は環境に深刻な問題を引き起こしています。米環境保護庁によると、平均的な家庭は、毎日28種類の電子機器を使用し、米国だけでも約270万トンの電子機器が消費されています。これは資源の枯渇にもつながります。さらに米科学振興協会によると、1台のパソコンとモニター製造には下記の資源が消費されています:
- 約227キロの化石燃料
- 約23キロの化学物質
- 1.5トンの水
実験と研究を積み重ねた結果、出会ったのが世界最大の化学メーカーBASFの「Ccycling」という革新的なリサイクルプロセスです。電子機器廃棄物を焼却からより生産的な方法で変換、再生するという取り組みです。
「私たちは、電子機器廃棄物をこんなにも効果的にリサイクルできるとは想像もしていませんでした。廃プラが高性能かつ高品質の製品材料として変換され、Flex Perchのような製品に成形することができたのです。これは驚くべきことです。化石燃料の代わりに廃棄物を使用しているのです。当社が目指す化石燃料資源からの脱却とCO2抑制の両方を満たすことができました。」と語るのは製品開発をリードするSteelcaseのグローバルデザインディレクターであるブルース・スミス氏です。
.重量はわずか4kg、BASFのナイロン樹脂で成形。低負荷を可能にするポストコンシューマーリサイクル材含有率は70%、100%リサイクル可能な製品です
当社は、より多くの企業がCcylingのリサイクルプロセスを採用し、サプライヤーが成熟するにつれて、Flex Perchのリサイクル材含有率も将来的には70%からさらに向上するだろうと予想しています。
「今回の製品導入によって、Steelcaseが廃棄物削減と将来の化石燃料からの脱却を可能にする材料プロセスで業界をリードした事例と言えます。」とスミス氏は言います。
Flex Perch導入にあたって、開発チームの主な目的のひとつが「可能な限り無駄をなくすこと」でした。通常、製造工程である色から次の色に生産を切り替える際に複数の色のプラスチックが混在し、予定にはないマルチカラーのスツールが出来てしまいます。チームは、それを無駄にするのではなく、マルチカラーバージョンとして世界中のソーシャルイノベーションパートナーに贈ることにしました。
「さまざまな色が混在したスツールは、今日の変革の時代にあって直面するさまざまな問題や社会の混乱を表現しているようにも見えました。そこで考えたのが社会的問題を解決する技術革新やビジネスモデルに果敢に取り組んでいる団体に贈答するというアイデアでした。」と語るのはSteelcaseのシニアマーケティングスペシャリストであるジーナ・セレンタニ氏です。
持続可能の製品として初めて誕生したFlex Perchを成功事例として、Steelcaseは引き続きより豊かで持続可能な社会の実現に向けた新たな価値を生み出し続けます。責任ある材料選択とその管理に注力し、自社製造におけるスクラップの削減や防止を通じて廃棄物総量の抑制、使い捨てプラスチックの削減、すべての梱包材のリサイクル材含有量の増加にも努めていきます。
「Flex Perchの導入は持続可能なものづくりの素晴らしい例です。しかし、それはほんの一例にすぎません。真の変革に向けて当社は走り続けます。」とスミス氏は強調しています。