オフィスでのプライバシーをサポートする3つの方法
オフィスでのプライバシーをサポートする3つのデザイン戦略は、ワーカーにチョイスとコントロールという裁量権を与える。
ウェブスター辞典はプライバシーという言葉をこう定義している:会社または監視から離れている状態や他人から干渉されない自由な状態をいう。これらの用語の定義に携わっている人にとっても、プライバシーには様々な意味があるはずだ。孤独や孤立を指すこともあるし、外部からの刺激のコントロールという意味合いもある。
多くの場合、オフィスでひとりになるにはそこをこっそり離れなければならず、オフィス内の雑音から逃れることは不可能だと思われている。そして、今、世界中でこの職場でのプライバシー問題が懸念されているのだ。 Steelcaseが実施した世界的調査によると 、多くの人が職場には十分なプライバシーを持てる場所がないと答えている。また、集中できること、中断なしにチームで働けること、作業内容に応じて働く「場」を選べることは望ましいとも感じているのだ。
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https://soundcloud.com/steelcase/360-real-time-the-privacy-crisis-design-strategies-with-privacy-in-mind
調査でも分かるように、多くの人がさまざまなタイプのプライバシーを求めていて、そのニーズを満たす製品やソリューションが注目を浴びて始めている。 Steelcaseのグローバルデザインチームは、生態系のように多様なスペースが相互に依存しあう「場」を構築することを提案している。多様な「場」を設置することで、ワーカーはどこでどう働くかのチョイスとコントロールをしやすくなる。これを実現するには、今までとは異なる「場」づくりと既存のスペースの定義を変換することが必要になるのだ。
SteelcaseのアドバンストアプリケーションデザインのマネージャーであるVanessa Bradley氏は、職場でプライバシーを高めるために、下記の「分散型」と「ゾーン型」のアプローチ方法を提案している。
プライバシーに対する「分配型」と「ゾーン型」アプローチ法
「分散型」は、既存スペースの中で、他者や雑音から”逃げる”場所を見つける方法である。間仕切りや小さめのアンクレイブ(隠れ家的スペース)などは、既存の場所から離れることなく、プライバシーがあるスペースを確保できる
「ゾーン型」は、未使用または有効活用されていないスペースをプライバシーの「場」へと変換するというものである。これらのスペースはプライバシーという明確な目的を持った「場」として活用されることになる。
プライバシーとは極めてプライベートで、そのニーズに応じて決定されるべきである。Bradley氏によると、そのスペースには、完全に開放されたオープンなスペース、ある程度閉じられたスペース、そして、完全に閉じられたスペースがあるという。
プライバシーを確保するために、デザイナーが考慮すべき点として下記の3つを挙げている。
プライバシーを支える3つのデザイン戦略
1) 人々が仕事で最善をつくせるようデザインする
そのスペース内での特定の要素をユーザー自身でコントロールできるようにする。例えば、照明の調光、室温、座位/立位のチョイス等がある。
2)集中と活性化をサポートする特別な体験を創造する
集中や活性化を育むというようなある特定の体験をするためのセッティングを設定する。
3) 働く人の心のバランスを考慮する
全体のスペースを見て、スペースやセッティングを通していかにプライバシーをサポート出来るかを決定する。既存の環境の中に追加する際にも最適な方法でその実現を目指すこと。また、プライバシーのニーズとは計画されたものと予定外で起こるものがあり、そのバランスを図りながらスペースをデザインすることが極めて重要となる。
最後にBradley氏はこう語っている。「どこでどう働くかのチョイスとコントロールを社員に与え、それを実現するために職場に様々なスペースが生態系のようにつながる「場」を創造するということが、最終的には個を育てることにつながります。」
世界中の多くの企業のオフィスで、プライバシーに関して危機的な状況が起きているのにはいくつかの要因がある。その詳細はSteelcaseのWorkSpace FuturesグループのディレクターであるDonna Flynn氏へのインタビューやポッドキャスト. を見ていただきたい。また、職場でのプライバシーの詳細は、Steelcase のWorkSpace Futuresグループのシニアデザイン研究員であるMelanie Redman氏のインタビューとポッドキャスト でも紹介している。