ティ思考

こうした経営戦略の変化は、業務プロセスや働き 方、ひいては組織文化にも影響を与えます。オフィ ス設計という観点から言うと、調達する素材や家 具の選択、さらには組織横断的に複雑な課題に取 り組むためにさまざまな部署から人が集う「場」を 設けることの必要性とも関係してきます。

えている。
jobs
(サステナビリティ関連)の雇用が創出
(出典:Deloitte 2022)。
(Deloitte 2022)
プラカシュ・アルンクンドラム、Logitech COO

サステナビリティ
関連求人数が
イギリスとドイツで
最も急増、
スペインが続く。
また、アメリカで最も急成長
している職種の
上位10のうち3つは、
サステナビリティ関連である。
ギョーム・アンセル、不動産シニアマネージャー



すべての企業に当てはまるロードマップはありません。実際、ネッ トゼロ未来への成功は、まだ市場に存在しないテクノロジーや インフラ、材料科学分野において将来起こるだろうイノベーショ ンに依存しています。サステナブル素材の活用とCO2分離回収 技術の進歩は、組織の継続的な学習が今後不可欠な理由のひ とつです。科学的知識を習得し、革新的な製品を開発するには、 企業と従業員双方の知識の習得やリスキリングが欠かせないか らです。生涯学習を業務フローに組み込むことは、組織文化の 変換であり、その変換を促すにはチームや個人が学び合う「場」 の創出が不可欠です。



製品開発は、サステナビリティ目標を理解することから始まりま す。そして、新たなスキルセットを持つ人材登用が急務となる人 事部門、サプライヤーを審査・監査する調達部門も同様です。ま さに全従業員が同じ方向を向いてサステナビリティに取り組ん でいく環境づくりが目の前の課題です。
組織の透明性が高いほど、経営層、チームと個人が率直に話せ る環境が整います。サステナビリティ戦略と目標が優先づけされ、 連動しながら社内に広く共有されると将来の共通ビジョンに向 けて全社一丸となって行動を起こすことができます。その際の 経営層のためのスペースは、会社のビジョンや戦略を表示する など工夫を凝らし、誰でも立ち寄りやすいスポットとして設計さ れるべきです。






各部署は、独自の方法で業務を遂行しますが、活動は相互に関 連し合っています。製造部門は無駄の削減、財務部門はCO2削 減関連の予算計上など。従業員は、裁量と権限で自己開発と成 長に結びつくような新たな役割を与えられることで仕事に対す る意欲も高まります。
部門横断的に人がつながると情報共有は加速し、全体像の把 握や創造的な問題解決などに必要なスキルアップを促します。 業務のさまざまなフェーズにおいて、他の部署の声を聞く機会 が増えるため、部署以外の人とつながるためのコラボレーショ ンやカジュアルなソーシャルスペースの設置が役立ちます。コン テンツの保持や共有に便利なマーカーボードやデジタルディス プレイの活用がチーム間の情報共有やコミュニケーションを円 滑にします。




(人類+地球へのインパクト担当 ディレクター)
企業文化の象徴として、また、企業の価値観を体現できる「場」 としてオフィス空間は役立ちます。レイアウトや素材・家具選び などサステナブルな視点からオフィスが設計されることで、従業 員は企業のビジョンや価値観を視覚的に体感することができま す。また、企業のネットゼロへの取り組みなど、同様の環境目標 を掲げるお客様と出会う「場」として位置づけることができます。 設計にあたっては、可能な限りサステナブル素材を使用し、家具 の使用終了時を想定した柔軟性を生かしたオフィスづくりをす ることで、CO2削減にも貢献できます。
